コジマタケヒロのアルビ日記2022 Vo.13 島田譲 「目指すところは一番上」

島田譲選手 ©ALBIREX NIIGATA

「個人的にもいいパフォーマンスを続けられているという自負があったので、5月上旬から約1カ月の離脱はもったいなかったというか、あれがなければ……という想いは正直あります。しかし、チームという視点で見ると、あの期間にチーム力が高まったことはよかった。いい競争が生まれ、僕自身、自分を成長させたいという想いがさらに強まりました」。

5月8日、ホームで行われた第15節の東京V戦(○4-3)を最後に6月11日の第21節・大分戦(A/○2-1)まで、約1カ月間、試合に絡むことのなかった島田譲選手。同時期には、同じくボランチを主戦場とする秋山裕紀選手も戦線を離脱した。「ボランチ不在」の危機を星雄次選手が見事に埋める形となり、チームは新しい選択肢を得た。

「とはいえ、離脱していた当時を振り返ると、自分が試合に絡んでいないときにチームが勝つっていうのはうれしい反面、悔しさや焦りという感情がありました。その想いが、今のままでは駄目だという向上心にもつながった。でも、これはきっと僕に限ったことではないと思います。成長したいという想いはチーム全体が持っています。昨年も一昨年もチームの雰囲気はずっとよかった。ただ今年は、選手全員が成長したいという欲をさらに感じます。毎日のチーム練習、その後の自主練や筋トレをしている姿を見ると、誰もが必死。みんな上を目指しています。また、6月に(本間)至恩選手(クラブ・ブルージュ/ベルギー)が海外移籍したこともいい影響になっていると思います、特に若い選手にとっては。一緒にプレーしていた選手が移籍したことによって、海外でのプレーがよりリアルになった。『自分たちだって可能性がある』。そう考えるようになった選手は大勢います。あれから、練習に臨む真剣度合いが一段階引き上がったように思います」。

成長という面では松橋力蔵監督の存在も大きいと島田選手は続けた。

「言行一致。リキさん(松橋力蔵監督)が選手に話していることや、とっている行動には非常に刺激を受けています。ついていきたいと思わせる人ってその人の言っていることとやっていることが本当に合っていないといけないんだ、とリキさんから常に学んでいます。キャプテンでも指導者でも僕はありませんが、年齢的なことをいえば僕はチームを引っ張っていく立場。リキさんが示してくれているように、言っていることとやっていることが矛盾しないよう、常に熱量を上げて、若い選手たちにもしっかりと見せていかなければと思いながら練習に臨んでいます。そして、チームを勝たせられる仕事をして、J1にチームを上げます」。

J1昇格とJ2優勝。目指すのはどちらか、という答えに困りそうな質問を最後にした。

「常にリキさんはこんなことを僕らに言います。『今季、僕らはJ2というステージで毎試合、毎試合勝つことを目指しているのではなく、その先にあるJ1で勝ち続けることを目指している集団』だって。だから、僕らが目指すところは一番上、優勝。特にフォーカスしているわけでも、誰かが口に出していうわけでもありませんが、みんなが、チーム全体が目指しているのも、同じところだと思います」。

残りは11試合。8月19日現在で、チームは勝点59。首位の横浜FCと勝点1差の2位につけている。正確無比なパス、より鋭さを増したフリーキック。まだまだ成長を続ける、新潟の誇るレフティーが静かに、そして熱く、チームをけん引する。

◎アルビライター コジマタケヒロ

練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート

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