データ科学で経営改善 長崎のコンサル業「IGブレーン」が独自ツール開発

BIツール開発を担当した寺下取締役(右)=長崎市、IGブレーン(同社提供)

 長崎市元船町の経営コンサルタント業「IGブレーン」(野口雄介代表取締役)が、企業データを分析して経営計画や判断に生かす手法「ビジネスインテリジェンス(BI)」の活用に力を入れている。多様で膨大なデータを集約、可視化する独自のツールを開発し、今月から本格的にサービスを開始した。データ科学のアプローチで、コンサル業に新風を吹き込む。
 同社は税理士法人などを展開するIG会計グループ(長崎市)。中小企業や個人事業主を中心に、経営改善や事業再生の支援を手がけている。特徴は税務処理などのノウハウを、将来のリスク計算や事業計画に生かす「未来会計」。新型コロナウイルス禍で企業の意思決定にこれまで以上のスピード感と正確性が求められると考え、データを瞬時に分析し、課題を把握できるBIに目を付けた。
 研究を重ねBIツール「ブレインクロス」を開発。企業に蓄積された会計帳簿、商品の在庫、売り上げの推移、請求書、社員の勤怠、給与、営業成績など多様なデータを統合し、相関関係を可視化することで、経営の課題や不振の原因などを正確に把握できるようにした。
 例えば、スーパーが商品入れ替えを検討する場合、単価と客数を組み合わせたデータを取り、売り上げに影響が少ない商品を絞り込める。営業会社の場合、成約率の高い営業員と営業手法の組み合わせを把握できる。農業法人では、気温や湿度と作物の収量や発育状況の相関関係を探り、スマート化につなげられる。
 開発担当の寺下祐介取締役は「特定の事業やIT技術に精通している従来型のコンサルにとどまらず、さまざまな事業を理解し、会計数値やデータ活用ができる日本一のコンサル集団を目指す」と意気込む。野口代表は「国内の中小企業を元気にするのが私たちの役割。BIの手法が税理士やコンサル業界に広がることを期待している」と話した。


© 株式会社長崎新聞社