国指定の難病で闘病生活…孤独を感じた患者、福井県で交流の場「難病カフェ」を開きたい!

「みんながハッピーになる場所を作りたい」と話す森下裕輝さん=7月28日、福井県福井市内

 福井県内の難病患者やその家族らが気軽に相談できる場を作ろうと、自身も難病を抱える森下裕輝さん(43)=福井県福井市=が、福井県のふるさと納税型クラウドファンディング(CF)で運営費を募っている。森下さんは「難病患者同士のつながりがなく、孤独を感じている人も多い。話すことで生きる意欲につながれば」と話している。CFは9月22日まで。

 森下さんはホルモンが正常に分泌されない「下垂体前葉機能低下症」という国指定の難病など、複数の病気を抱えている。外出や就寝時は酸素吸入器が手放せず、左足が不自由なため、つえを使って歩く。正社員で働いていたときは入院が続き退職。現在は障害者の就労継続支援事業所で働いている。

 闘病生活の中で、病気の情報の少なさや孤独を感じたという。東京や関西、全国各地で開かれた難病患者が集まる「難病カフェ」に参加し、同じような境遇の人と話すことで「心が落ち着き、暗いトンネルから抜け出した感覚になった」と振り返る森下さん。「コロナ禍で都会の多くの難病カフェが中止されている。福井で気軽に参加できる場があれば」と企画した。

 6月にはオンライン限定のお試しカフェを開催。県内外の10代後半~30代の7人が参加し、就労や闘病生活での工夫などの話で盛り上がった。参加者からは「若い人同士で話せて良かった」「他の難病の人と話すと励みになる」といった声があった。

 今回企画しているのは「291(ふくい)難病カフェ」。2、3カ月に1度、会場に集まり会話するオフラインとオンラインを組み合わせ開催する予定。CFサイト「レディーフォー」で支援を募る。目標金額は100万円で、会場費やホームページ作成運営費などに充てる。

 森下さんは「難病を知らない人も多い。カフェを開くことで、困っている人がいることを、一般の人たちが知るきっかけになればうれしい。みんながハッピーになれる場所にしたい」と話している。

 このプロジェクトは、福井県のふるさと納税による新事業創出支援事業の認定を受け、福井新聞社と福井銀行も協力。寄付額のうち2千円を除く金額が税控除の対象(所得に応じて上限あり)となり、実質2千円の自己負担でプロジェクトを後押しできる。

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