オスプレイ不具合2010年認識 海兵隊、普天間配備前 「大惨事なし」運用継続

 米空軍が垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの飛行を全機停止した問題に関連し、在沖米海兵隊は19日、海兵隊型のMV22オスプレイについても2010年時点で同様の不具合を把握していたと明らかにした。米海兵隊はパイロットの訓練などの対策を施した上で「この危険に起因する大惨事は一度も発生していない」と強調するが、米軍普天間飛行場への配備の際に指摘されていたオスプレイの危険性を改めて裏付けた形だ。

 米空軍はCV22のエンジンとプロペラをつなぐクラッチの不具合が見つかり、事故につながる可能性があるとしてCV22の飛行停止を指示している。

 沖縄県宜野湾市の松川正則市長は19日、沖縄防衛局に小野功雄局長を訪ね、普天間所属のMV22についても飛行停止を求めた。

 一方、在日米軍司令部は19日の声明で、日本国内でもCV22を地上待機にするものの、MV22は飛行停止にしない方針を示した。MV22を飛行停止しない理由について「両機種の任務環境と機体構成が異なっている」と説明した。ただ、CV22とMV22は9割の構造が共通している。

 米海兵隊は琉球新報の質問に、MV22にも同様の不具合があることを認識していたと回答した上で、不具合への対策としてパイロットへの緊急対応訓練や製造メーカーとの協力体制の構築などを実施してきたと説明。大きな事故なく飛行実績を積んでいるとして、安全性を強調している。

 オスプレイは開発段階から事故を繰り返し、安全性への懸念が出ていた。米軍普天間飛行場へのMV22の配備は2012年で、海兵隊は機種固有の不具合を認識した上で沖縄配備を強行し、運用を続けたことになる。(塚崎昇平)

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