福井県でコロナ病床使用5割迫り医療現場が逼迫 8割超が高齢者で「満床と同程度のスタッフ投入」

 福井県は8月19日、新たに1863人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。1日当たりの新規感染者数としては3日の1718人を上回り過去最多。現在入院できる病床378床のうち185床(48.9%)が埋まり、入院患者の8割以上を多くの医療スタッフが必要な高齢者が占める状況が重なって医療現場の逼迫度が増している。

 福井県健康福祉部の宮下裕文副部長は「病床占有率は5割でも患者1人に必要な人員は2倍近いため、既に満床と同じ程度の医療スタッフが投入されている」と現状を説明。感染拡大でスタッフが感染者や濃厚接触者になり、欠員を抱える病院も多く「入院患者がこれ以上増えると一般診療に制限が出るかどうかの瀬戸際にある」と危機感を訴えた。

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 県によると、臨時病床を除く病院の病床占有率は7月中旬は25%前後だったが、同下旬から新規感染者数が連日千人を超えると少しずつ上昇し、8月に入って40%を超えた。

 加えて入院患者の高齢化率(65歳以上)が高まり、7月中旬は約6割だったが、8月中旬には8割を超えた。高齢の患者は基礎疾患があるケースも多く、看護と介護に必要な医療スタッフの人数は若い世代と比べて1.5倍~2倍になるという。

 県では、病院とは別に患者用の病床100床を体育館などに臨時に設置する計画もあるが、開設には至っていない。

 宮下副部長は、県内では現在、だれもが感染の可能性があるとして、マスク着用や換気の重要性をあらためて強調。「行動制限で感染者数をコントロールすることは難しい状況で、個人の感染対策以外に有効な手段はない」と指摘した。

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