地下銀行で不正送金疑い、ベトナム国籍の男女3人逮捕 十数億円入金か 栃木県警

ベトナム人の3容疑者の自宅から押収した現金やパソコンなど=19日午後、宇都宮中央署

 ベトナムに不正送金する“地下銀行”を営んだとして栃木、広島、宮城県警の合同捜査本部は19日までに、銀行法違反(無免許営業)の疑いでベトナム国籍の男女3人を逮捕し、犯罪収益移転防止法違反(口座譲り受け)の疑いで再逮捕した。100人以上の在日ベトナム人が顧客とされ、2020年9月以降に3人が管理する複数の口座に送金依頼とみられる計十数億円の入金があったという。大規模なベトナム人組織が関与したとみて捜査している。

 逮捕されたのはいずれも宇都宮市、ベトナム国籍、会社役員男(28)、弟の大学生(24)、会社役員男の妻のアルバイト従業員(23)の3容疑者。

 逮捕容疑は共謀し21年5月21日ごろ~9月4日ごろ、送金希望の在日ベトナム人3人に、管理する他人名義の口座に計71万円を入金させ、ベトナム国内の仲間が保管する現地通貨で各受取人の口座に入金するなどした疑い。捜査本部は認否を明らかにしていない。

 捜査本部によると、3容疑者はベトナム人の送金希望者に有利な為替レートを設定し、送金依頼の入金で集めた日本円で仮想通貨などの資産運用を行い、利益を上げていたという。一部はベトナム国内の資金に充てていたとみられる。

 交流サイト(SNS)などで送金や口座譲渡の希望者を集めていたという。捜査本部は3容疑者の自宅から現金約3900万円やパソコンなどを押収した。

 一方、捜査本部は19日までに犯罪収益移転防止法違反(口座譲渡)の疑いで下野市、会社員男(41)も逮捕した。

「地下銀行」事件の送金の手口

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