トヨタ、エバンスが初日3番手もロバンペラはクラッシュ。勝田にもトラブル発生/WRCベルギー

 8月19日、WRC世界ラリー選手権の2022年シーズン第9戦『イープル・ラリー・ベルギー』の競技初日デイ1が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が表彰台圏内の総合3番手、チームメイトのエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がこれに続く総合4番手につけた。

 一方、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)はクラッシュによりデイリタイアに。また、TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、マシントラブルの影響で大きくタイムを失い総合18番手となっている。

 WRC開催2年目、今季2戦目のフルターマック(舗装路)イベントとして前日18日(木)のセレモニアルスタートで開幕したイープル・ラリー・ベルギーは、ステージは道幅の狭い農道が大部分を占め、直線をジャンクション(曲がり角)で結ぶようなジグザグとしたレイアウトが特徴のラリーだ。

 4本のステージでSS1~8の計8SSが行われた競技初日は、1日をとおして天気が不安定だった。午前中はドライコンディションでスタートしたものの、SS4の途中から雨が落ち始める。かと思えば、午後のループは降雨の予報もあるなかで雨は降らず。結果、1日のほとんどがドライコンディションでの戦いとなった。

 今シーズン8戦5勝の成績でドライバー選手権を独走しているロバンペラ。条件が揃えば今大会での史上最年少戴冠が実現するという状況のなか、彼はオープニングステージのSS1を制し総合首位でラリーを開始する。

 しかし続くSS2で左コーナーを曲がり切れずにコースアウト。側溝で跳ね上げられたマシンが激しくロールするクラッシュを喫した。幸いにもロバンペラとハルットゥネンに怪我はなかったが、クルマはダメージを負いこの段階でデイリタイアとなった。

 ロバンペラに替わって総合首位に立ったエバンスは、SS4でベストタイムを記録するなど速さを示し、首位でミッドデイサービスを迎える。午後のループに入った後もSS6までポジションを守り続けた。しかし不運にも1本のタイヤにスローパンクチャーが発生する。

 このため、エバンスはドライコンディションの路面でありながら、スペアとして搭載していたレインタイヤを履いてSS7とSS8を走ることになりタイムを失ってしまう。これで順位を総合3番手に下げたエバンスはさらに、最後のステージのTC(タイムコントロール)に遅着したことで10秒のペナルティをもらい、首位とのギャップは13.7秒となっている。

カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第9戦イープル・ラリー・ベルギー

■ラトバラ代表「難しい天気になれば、きっとチャンスが巡ってくる」

 今季、セバスチャン・オジエと3台目クルマをシェアして戦っているラッピにとって、イープルでのターマックラリーは自身8年ぶりの出場となった。それにもかかわらず、前戦3位に入ったフィンランド人はステージ4番手タイムを5回、同3番手タイムを1回記録するなど安定した走りを披露した。午後は選択したタイヤがコンディションに合わず後れを取ったが、初日を総合4番手で走破し、総合5位のライバルに対しては18.8秒のリードを築いている。

 日本人WRCドライバーの勝田は、午前中のSS3で発生したトランスミッションのトラブルにより大幅にタイムを失ってしまった。また、午後はレインタイヤを4本用意してステージに臨むも雨は降らず、やはり大きくタイムロスすることになったが、トリッキーなコースで貴重な経験を積み総合18番手で競技初日を終えた。

「正直なところ、我々にとって楽な1日ではなかったが、このラリーが決して簡単にはいかないということは分かっている」と語るのは、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ。

「アクシデントに遭遇する前、カッレ(・ロバンペラ)は本当に力強くいいスタートを切っていた。ラリーでは誰にでもこういうことは起こるものだ。どのようなチャンピオンであっても、1シーズンに最低1回は大きなミスをするもので、カッレは今季ここまでの8戦で8回いい成績を収めていた。チームがクルマを修理し、今週末も彼がポイントを獲得できることを願っているよ」

「エルフィン(・エバンス)とエサペッカ(・ラッピ)はよくやっている。残念ながらエルフィンは終盤にタイムを落としてしまったが、我々は諦めたりしない。難しい天気になれば、きっとチャンスが巡ってくるはずだ」

 競技2日目が行われる20日(土)のデイ2は、イープルのサービスパークを中心に4本のステージを各2回走行していく。SS9~17、計8本のSSの合計距離133.22kmは今大会最長。リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は269.05kmとなる。

エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第9戦イープル・ラリー・ベルギー
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第9戦イープル・ラリー・ベルギー

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