街の中に城址がある福井市、個性どう生かす セミナー開会、県都デザイン思い描く

福井城址を生かしたまちづくりについて考えたセミナー=8月21日、福井県国際交流会館

 福井県主催の「福井城セミナー『未来を描こう、県民の城』」が8月21日、福井県国際交流会館(福井市)であった。2024年春の北陸新幹線県内開業を見据え、県庁や県警本部が立地する福井城址の活用について考える3回シリーズの初回。城や歴史、まちづくりに関心のある市民約60人が参加し、講演を通じて活気ある県都の未来図をそれぞれ思い描いた。

 有識者らでつくる福井城址活用検討懇話会は3月、福井城址に関する提言書を杉本達治知事に提出。城址南西角にあった「坤櫓(ひつじさるやぐら)」とお堀西側の土塀の復元を提言し、24~30年の完成を目標に検討を進めるよう求めた。県庁の移転時期は建物の耐用年数などから「40年以降を想定」とした。

 セミナーでは、懇話会の座長を務めた国学院大学教授で東京大学名誉教授の西村幸夫氏(建築計画、都市計画)が「県都デザインと福井城址」と題して講演。懇話会の提言に加え、県と福井市が13年に策定し、50年までに県庁と市役所を移転する方針を立てた県都デザイン戦略の概要を説明しながら、将来像を探った。

 近代福井の特徴として▽城と駅、商業の中心、行政の中心が近接している▽広大な堀が徐々に埋められた▽福井駅の位置と変化が都市に影響を与えた▽堀端通りがない―を挙げ、百間堀が存在した戦前から戦後にかけての地図を示しながら変遷を詳しく解説した。

 お堀を景観として生かす堀端通りがないケースは珍しいとし、逆手にとって新たな可能性を見いだすことを提案。福井城址周辺にある遊歩道について「車を気にせず景観を楽しめる」と積極的な活用を促した。

 福井市中心部はコンパクトな街を形成している点が特徴とし「街の中に駅があり、城がある福井の個性をどう生かすか。福井城址を市中央公園にいかにうまくつなげるかも大切だ」と訴えた。

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 質疑応答では、北陸新幹線開業を見据えた坤櫓の早期復元や、本丸跡に県庁が存在する“希少価値”を逆に生かす方策など、参加者は積極的に意見を述べた。

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