もふもふ不動産のもふです。リーマンショックで会社が潰れそうになったのをきっかけに、自分でお金を稼ぐ力を探し始めて2014年から不動産投資を開始し、大きな利益を上げてきました。
前回のコラムで、不動産投資は投資ではなく事業であり、経営−−何もわからずに始めると大きな失敗につながることをお伝えしました。
今回は、初心者の方によく聞かれる「まずは何を勉強すべきか?」ということについて、不動産投資家として必須のスキルと、その習得方法をお伝えします。
不動産投資の勉強は広く浅く、まずは全体像を
不動産投資で必要な知識は、とても広いです。一つ一つを深く掘り下げると、沼にハマってしまい、いつまでも全体像が見えてきません。まずは広く全体像を見てみるようにするとよいでしょう。
かくいう私も、2013年に不動産投資の勉強を始めたとき、DIYやリノベーションの勉強などをしていましたが、全て外注しているのであんまり役に立っていません。
まずはさまざまな不動産投資の本を読んで、広くいろんな手法を学ぶのがおすすめです。実は本によって、主張が相反することがよく書かれています。
- 地方は狙い目 vs. 都心が狙い目
- 区分マンションが狙い目 vs. 区分マンションはダメ
- 新築が良い vs. 築古が良い
- DIYしないのはダメだ vs. DIYなんて無駄なことするな
「どっちが本当なの?」と、初めは混乱しますが心配いりません。これはサッカーファンが「サッカーは最高、野球なんて退屈でつまらない」とか、野球ファンが「サッカーは試合数が少なくてつまらない」と言っているようなもので、サッカーも野球もそれぞれに魅力があり、どっちが好きなのかは人それぞれです。
不動産投資も、戸建が良いのか新築が良いのかはそれぞれ特徴があり、自分に合っている手法を選べばよいのです。自己資金がないのに莫大な資金が必要な新築RCをやろうとしても難しいです。自分の収入や自己資金、やりたいことを考えつつ、どの手法が合っているのか模索することが大切です。
まずは広く浅く、いろんな本を読んで全体像を把握しましょう。
私は独学で不動産投資を始めたのですが、100冊以上は読みました。1冊1,000円だとしてもおよそ10万円……高いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、失敗すると何千万円もの損失になり、成功すると何千万円も儲かるのなら安い自己投資だと思って勉強し、その結果1,000倍以上になっているので、とんでもないリターンです。
不動産投資で最も重要な初めに身につけるスキルとは?
まずは広く勉強するのが基本ですが、なかでも最も重要なスキルを一つ挙げるとすると「不動産の目利きの力」です。不動産投資家は全員持っていますし、これがない方は失敗に繋がっています。
目利きとは、不動産の価値を見極める力で、平たくいうと「他の人がこの不動産をいくらで買うか」を見極めるということです。
これから不動産賃貸業で利益を上げてお金を稼ぎたいのに、不動産の価値や価格がわからないと話になりません。
例えばマグロの目利きができない初心者が、築地のマグロの競り市に行ってプロの業者に混ざってマグロを競り落とし、そこから利益を上げようとしていたら無謀だと思いませんか?
プロは尾っぽの断面などを見てマグロの品質を見極め、安いか高いか利益が出るか判断して買っていますが、不動産投資も同じです。その不動産の価値を見極めて、いくらで買えば儲かるのかを瞬時に判断して、確実に儲かるものを買っています。
ある戸建が1,000万円で売られていたとします。不動産投資家は下記などを見極め、いくら儲かるのかを計算しています。
- この戸建の本来の価値はいくらか?
- 直すのにいくらかかるのか?
- 家賃がどれだけ入ってくるか?
- 入居者は見つかるのか?
- 売却したらいくらで売れるのか?
例えば本来の相場が500万円だったら、1,000万円で買うのはもったいないですし、本来の相場が2,000万円なら買った瞬間に含み益が1,000万円になるので全力で買いに行くかもしれません。
不動産の相場とは?
それでは、不動産の相場とは何か—例えば、缶ジュースで言うと、自動販売機なら130円、スーパーなら100円、観光地などでは2〜300円になったりと、中身が同じでも価格が変わります。不動産も同じことです。立地がよければ高くても買いたいですし、周りの不動産の価格を見ながら相対的に比較して値段が決まります。
分かりにくいのは、不動産は一点もので同じものがないところです。だからこそ安く買えるチャンスもある、これが不動産投資の面白いところです!
相場がわからずに買うと大きな失敗につながる
価格がわからないものを買って儲けよう、と考えるのは甘い話だというのは理解しやすいと思いますが、不動産投資においてはこのパターンで失敗する方が多いです。
実際に相場が1億円の不動産を2億円で買ってしまったようなケースが報道されています。2億円の借金で買ったにも関わらず、売ろうと思ったら1億円でしか売れないのです。こうなってしまうと自己破産のリスクが高まります。
なぜ、このようなことが起こってしまうのでしょうか?
- 不動産の価格が分かりにくく、相場が判断しにくい
- 売られている価格が適正だと思い込んでしまう
- 自分で判断せず「いい物件ですよ」「儲かりますよ」の言葉を信じてしまう
- 銀行が融資してくれるので安心する
ということが多いです。初心者がマグロを競り落として儲けようとは思わなくても、不動産投資では初心者が何もわからずに買って失敗するケースが多発している理由です。
「不動産屋さんに儲かると勧められたり、銀行が融資してくれるから大丈夫だろう」。これは非常に危険な考えです。不動産投資で儲けたいのなら、本来の価値がいくらなのか、ほかの人がいくらで買うのか、入居者が付くのかなど事業として自分の責任で判断しないと大きな失敗になります。失敗した後に、誰も助けてくれません。
不動産の目利きを鍛えるには?
これもよく聞かれますが、不動産の目利きを鍛えるには、たくさん物件を見て価格をインプットするしかありません。
一般的には、不動産の価格は下記の傾向があります。
- 築浅が高い
- 土地の面積、建物の面積が広いほうが高い
- 地価が高いほうが高い
- 駅に近いほうが高い
- 環境が良いほうが高い
- 木造 < 鉄骨 < 鉄筋コンクリート の順に高い
どれくらいの価格で売りに出ていて、どれくらいの価格で買われていくのかを日々チェックして肌感覚を掴むことが大切です。慣れてくると価格がわかるようになってきます。
例えばフェラーリの新車が500万円で売っていたら、車が詳しい方なら買うと思います。フェラーリならどんな新車でも3,000万円以上するので儲かります。しかし、車に興味ない方からすると、「軽自動車が150万円で買えるのに高い」と思うかもしれません。
不動産も同じです。相場を深く知り、本来の価格より安いものを買っているのです。繰り返しになりますが、「価値がわからないものを買って儲けよう」なんて甘い話はないのです!
好きなものは詳しくなる
不動産投資家は不動産を毎日見ています。ビジネスと割り切ってやっている方もいますが、大半は不動産が大好きです。
毎日ながめることで、いろいろな気づきが出てきます。
- 「こんなところに物件が出てきた!」
- 「これは価格が高いな……値上がりしている」
- 「これは安すぎる、絶対に買いたい!」
- 「ボロいけど◯円で直せば△円で貸せて、□円くらい儲かるかな?」
気になった物件は、夜中でもすぐに見に行ったりすることもあります(笑)。
エルメスのバーキンというバッグが好きな方は、きっといろんなバーキンを見るのが好きでしょう。新作やいろんなカラーや皮のバリエーションとか見るのが好きで、見ているうちに調べて詳しくなるのと同じようなものです。
いずれにせよ、不動産投資家は熱い情熱を持って不動産を血眼になって探し、その過程で目利きの力が総合的に養われていくのです。
目利き以外に養うことは?
目利きの他に身につけておく力としては、「いくら儲かるかを判断する事業計画」です。
不動産投資をしたい理由として、一番多いのはシンプルに「儲けたい、お金持ちになりたい」ということだと思います。そのためには「不動産投資で物件を買ったら、どれくらい儲けられるのか?」、これを買う前に予想する能力が大切です。
儲かるかどうかは、非常にシンプルです。
- いくらで買うか?
- いくらかけて修繕するか?
- いくらで貸すか?
- いくら運営費がかかるか?
- いくらで売却できるか?
これが予想できれば、いくらトータルで儲けられるかわかります。初めは難しいかもしれませんが、他の事業に比べて非常にシンプルで計算しやすいです。
例えば、カフェやラーメン店をやろうとしたときと比較すると、「いくらで売るか?」「1日どれくらい売れるか?」「人件費や仕入れの価格は?」など、他社の価格はブラックボックスで予想しにくく、利益が出せるのかもわからないと思います。
一方、不動産はいくらで買うか、いくらで売却できるかは相場感を養えばできますし、いくらで修繕するかは専門業者の方に聞けばわかります。家賃は周辺の物件を見たり仲介店の方に聞けば想像できますし、運営費もほぼ固定費なので予想がつきやすいです。
焦らずしっかり学ぼう
他にも銀行融資、税金対策、リフォーム費用を抑える、空室対策など多岐に広く浅くしらないといけないのですが、一気に全部を学ぶのは不可能なので、今回解説してきた下記2つを意識してやりつつ、その他のことを広く平行に学んでいくのがおすすめです!
- 目利きを鍛える
- 儲かるかどうか計算できるようになる
「不動産投資を勉強して買えなかったら勉強が無駄になる」と考える方もいますが、それは大きな間違いです。
自分で事業計画を立てて、儲かるかどうか調べることは会社員としても役に立ちます。私自身、16年間会社勤めをしていましたが、会社員としての経験が不動産投資に活かせましたし、不動産投資の経験が会社員の本業にも役立ちました。
新しい世界を見てみることで、自分の幅が広がり、自分自身のスキルアップやキャリアアップにつながります。ぜひ不動産投資に興味がある方は勉強してみましょう。