オリオン通り周辺に続々出店 メイドやアイドルが接客「コンカフェ」とは

来店客(左)をカウンター越しに接客するメイド服姿の店員=8月上旬、宇都宮市馬場通り3丁目

 栃木県宇都宮市のオリオン通り周辺に次々とコンセプトカフェ(コンカフェ)が出店している。メイドやアイドル、アニメといった各店ごとのコンセプトを基に店員の衣装や内装などに趣向を凝らす飲食店だ。キャバクラなどが多い歓楽街を避けて、中心部の空き店舗に進出しているという。にぎわいに一役買う一方、見えにくい営業実態に不安を感じる住民も。お酌など接待に当たる行為は法令に抵触する可能性があり、県警は立ち入り検査を実施し、店側を指導するなどしている。

 「旦那さまのご来館です」。扉を開けると、メイド服姿の女性が笑顔で迎えてくれる。同市馬場通り3丁目の「Charilu+(しゃりるぷらす)」。白のバーカウンターと紫の酒棚が目を引く。ジャズが流れる店内。コンセプトは「1900年代初期、西洋の屋敷での音楽会」だ。

 目の前にランプがともされる。「愛の灯火です」。カウンター越しに接客する20代女性店員は「もともとメイドにあこがれがあった」という。客は店員と会話しながら、酒やソフトドリンクを飲む。

 民間シンクタンク「ニッセイ基礎研究所」によると、コンカフェは2000年代から流行したメイドカフェが代表的だ。近年では、巫女(みこ)や忍者、妖怪などさまざまなコンセプトの店が生まれ、非日常感を売りにしている。

 ほとんどのコンカフェはキャバクラのような風俗営業の許可は受けておらず、お酌などの接待はできない。カウンター越しに女性店員と会話するガールズバーと同様、届け出をすれば午前0時以降に主に酒類を提供する営業も可能だ。

 あるコンカフェ経営者は「JR宇都宮駅東口や(市中心部の)泉町にはキャバクラが多いため、オリオン通りに出店した」と話す。周辺にはこの1、2年で約10店舗が開店したという。

 住民からは「一部の店の客引きが怖い」「ガールズバー、キャバクラとの違いが分からない」などと戸惑いの声も上がる。そのため店側は呼び込みが通行人の邪魔にならないようにしたり、店舗前の掃除をしたりと気を配っているという。

 県警生活環境課は各店舗の営業実態の把握を進める。風俗営業許可を受けずに接待行為をしたり、無届けで深夜に酒類を主に提供したりした店には指導しているという。同課は「法令を守らない悪質な店舗は摘発もありうる」としている。

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