“千々石ミゲル墓所推定地” 発掘結果概要を冊子に 「夫妻のものと確定」調査一区切り

発掘調査結果の概要をまとめたパンフレット

 天正遣欧少年使節の一人、千々石ミゲルが埋葬されたとみられる長崎県諫早市多良見町山川内の墓所推定地で発掘調査に当たった民間団体が、結果の概要をまとめたパンフレット(A4判、7ページ)を発行した。
 作製したのはミゲルの子孫や識者らでつくり、昨年8、9月に第4次発掘調査に取り組んだ千々石ミゲル墓所調査プロジェクト(浅田昌彦代表)。2014年に始まった一連の調査では、二つの埋葬施設と男女2人の骨が出土。墓石は禁教令後の1633年に没した男女2人の戒名が刻まれた日蓮宗形式だったが、女性の墓からはキリシタンの副葬品も見つかった。
 同プロジェクトは指導委員会(委員長・谷川章雄前日本考古学協会長)の判断を踏まえ今年4月、「ミゲル夫妻の墓所と確定することができた」と発表、調査に一区切りを付けた。
 パンフレットは文化財保護法に基づく「発掘調査報告書」作製を前にした概要版と位置付け、4回の発掘調査とその成果を写真や実測図などを交えて、分かりやすく紹介。関係者や行政、地元住民などに配布した。市内の図書館、図書室で閲覧できる。報告書は年度内に取りまとめる予定。
 18日、同プロジェクトを支援する千々石ミゲル研究・顕彰会の立石暁会長らが市役所を訪れ、大久保潔重市長にパンフレット刊行を報告。立石会長が文化財指定などを念頭に「(墓所を)地域振興の中心にできないかと思う。ご支援いただければありがたい」と求めたのに対し、大久保市長は「今後の活用や保存をしっかり考えたい」と応じた。


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