粘り強さと機動力発揮 国学院栃木・甲子園総括

2回戦で智弁和歌山を破り歓喜に沸く国学栃木ナイン。主将の平井(左から3人目)は4番としてもチームをけん引した=13日、甲子園

 第104回全国高校野球選手権大会で37年ぶり2度目の出場となった国学院栃木は夏の甲子園で初勝利を挙げ、3回戦まで進んだ。対戦校のデータを基にした攻めや積極的な走塁、継投策を駆使。激戦を通して成長を続けたチームの戦いを振り返った。

 チーム打率は2割9分1厘で、1、2回戦は共に2桁安打で逆転勝ち。粘り強さに加え、3試合で5盗塁という数字以上に俊足の槙本嵩大(まきもとたかひろ)らの好走塁が得点に結び付いていた。

 勝負強さを見せたのが4番で主将の平井悠馬(ひらいゆうま)だ。打率4割1分6厘、4打点。初戦の日大三島(静岡)戦では五回に勝ち越しの適時二塁打を放ち、続く智弁和歌山(和歌山)戦では1点リードの八回にソロ本塁打で相手の反撃ムードを遮断。勝利を呼び込む一打を生み出し続けた。

 6番の2年生長田悠也(ながたゆうや)が打率5割8分3厘、5打点で共にチームトップ。2回戦では同点の六回に勝ち越しの適時二塁打を放つなど4安打3打点で前回王者を破る立役者となった。

 投手陣は2年生右腕盛永智也(もりながともや)が柱となり全3試合、計16回を投げ防御率は3.94。初戦は7安打3失点、146球で完投した。2回戦では「4本の矢」による継投が奏功。左腕中澤康達(なかざわこうたつ)、勝負度胸のある平井、最速146キロの中川真乃介(なかがわしんのすけ)から盛永につなぎ、智弁和歌山打線を3失点に抑えた。

 一方、九州学院(熊本)との3回戦は投打に課題を残した。打線は散発4安打に押さえ込まれた。得点圏に走者を進めた初回から三回の好機を生かせず、最後まで相手右腕を攻略できなかった。守っては2回戦同様に4投手で六回まで1失点と耐えたが4番手の盛永が七、八回に連打を浴び計3失点と力尽きた。

 目標の4強入りは果たせなかったものの、快進撃は3年ぶりに一般客が来場した甲子園球場を沸かせた。栃木国体では本県代表として強豪を迎え撃つ立場となる。内野を中心に、新チームには聖地の土を踏んだメンバーが多く残る。秋からの戦いにも注目が集まる。

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