NHK党「独自候補擁立したい」、参政党「辺野古移設が国益に」<沖縄県知事選2022・県内政党に聞く>⑥

 9月11日投開票の沖縄県知事選挙まで1カ月を切っている。現職の玉城デニー氏(62)、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)、前衆院議員の下地幹郎氏(61)らが立候補を表明している。県内政党などの代表に知事選の意義や取り組みを聞いた。 (’22知事選取材班)

独自候補擁立したい NHK党 立花孝志党首
 ―県知事選の意義は。

 「沖縄はNHKの受信料が他の地域と比べて安い。地域差が生じることで逆差別のような状況ができており、見直すべきだ。県知事選は、こうした党の政策、主張を広く伝えられる機会だ。300万円の供託金を納めるだけで1億円規模の広告効果が見込める。独自候補の擁立について諦めた訳ではなく、誰か立候補していただける方がいるなら公認したい」

 ―玉城県政への評価。

 「台湾情勢が不安定化しており、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する玉城デニー知事は支持できない。政策面では保守系候補を応援したい」

 ―県知事選にどう取り組むか。

 「保守陣営が割れている状態だが、どちらにも公認や推薦を出す予定はないし、依頼もない。われわれはメディアにも改憲勢力に入れてもらえていない。自民党など与党側には、応援・支持したら票が減ると考えている人も少なくない。まだまだ嫌われているというのが実情だ」

 ―基地問題についての考えは。

 「辺野古移設推進の政府の立場を支持する。県外移設は、公約にした民主党政権でもできなかった。沖縄でも『他の地域に移してほしい』と考える方がどれだけいるのか。基地があることで経済的に潤っているという側面もある」

 ―今後の地方選挙への取り組みは。

 「市議選で沖縄市と北谷町から独自候補を出すことが決まった。NHK党の沖縄での得票率は、ほかの46都道府県と比べても高い。われわれ以外の新興政党も支持を伸ばしている。自民党も共産党も予定調和を演じているだけだ。左右どちらも、そうしたプロレスに終始する既存政党に嫌気が差しているのを感じる」

辺野古移設が国益に 参政党 松田学代表
 ―知事選の意義と争点。

 「台湾情勢が緊迫化し、危機が高まっている。沖縄は安全保障に関わる地域だ。日米同盟を円滑に機能させなければいけない。佐喜真淳候補が掲げる、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設推進が国益にかなうと考える」

 ―県知事選を自主投票とした理由は。

 「参院選を終えたばかりで、表だって自民党と組んで応援するという判断はできない。すり寄りはできない。独自候補を出すべきだという声も党員の中にはあったが、大局的に判断しなければいけない。保守系の票を割ってしまうという懸念が大きい。国防の面での国益と党員の心情も考慮して自主投票とした」

 ―支持層が重なる保守系候補が2人出馬見込みだ。

 「佐喜真氏からは個人的に連絡があった。正式な要請ではなかったが、応援してほしいというニュアンスで受け止めた。下地幹郎氏からアプローチはなかった。政策では米軍基地再編の考えで、正論といえる面もあるが、保守票が割れるという点で懸念がある」

 ―玉城県政の評価は。

 「翁長雄志前知事が国連人権理事会で先住民族としての自治権を訴えた。沖縄の分断工作にもなりかねない。玉城氏がこの主張を再度訴える不安がある。辺野古の問題で反対ばかりというのも評価できない」

 ―自民党との連携は。

 「最も気になるのは、外国資本による土地買収の問題だ。土地規制法が施行間近だが、中身が不十分だ。コロナワクチンは後遺症、副作用の懸念から子どもへの接種を慎重に、とずっと訴えている。これらの政策が合致すれば連携できる」

 ―地方選の対応は。

 「積極的に候補者を擁立しようと動いている。まだ決定ではないが、複数の候補が出てきている」

 (おわり)

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