第15回居酒屋甲子園北陸甲信越地区大会が開催、新潟県内からは3店舗が出場し壇上で想いを熱弁

第15回居酒屋甲子園北陸甲信越地区大会が23日、新潟県民会館(新潟市中央区)で開催され、予選を勝ち進んだ県内外の5店舗が「店の強み」や「地域を元気にする取り組み」を壇上で熱く語った。店舗での接客や料理のクオリティなどと合わせて評価され、優勝した1店舗が次の戦いへ進む。

居酒屋甲子園は同名のNPO法人が2006年から開催するイベントで、外食業界に働く従業員のやりがいを育てることや、他店の事例を通して学びを共有することなどを目的としている。大会の一次予選と二次予選では、店舗への顧客満足度アンケートと覆面調査員による接客・電話対応・料理のクオリティなどで選考。その狭き門を通過した5店舗のみが進む地区大会では、店舗の代表者が壇上へ立ち、自店の強みや特徴的な取り組みを観客へ直接プレゼンテーションする。なお、新潟県は過去3度優勝店舗が出ており、NPO法人居酒屋甲子園の山崎聡理事長によると「全国からも目標にされている地域」であるという。

感染症禍により2年ぶりの開催となった今回。「共に学び、共に成長し、共に勝つ」を理念に掲げ、感染症禍で未だ飲食店が大打撃を受ける中で「居酒屋から日本を、世界を元気にする」ことを目的に全国から2,644店舗(12ブロック)が参加した。

山崎理事長は「今回のこの活動自体のテーマは『使命』。感染症禍を経て、いやがおうにもそれを考えさせられた。諦めかけた店舗も見てきたが、耐え抜いた店舗もこんなにいて、彼らの話す言葉にはパワーがある。(そうした飲食店が居酒屋甲子園に出ることで)異業種の人も励みになると思うし、日本は元気になる。このイベントをきっかけに、止まっていた足を動かしてもらえたら」と想いを込める。

壇上へ上がる出場者たち

優勝した魚屋ちから

23日に新潟市中央区内で行われた北陸甲信越地区大会では、予選を勝ち進んだ上野原の赤ちょうちん(山梨県)、魚屋ちから(同)、和ダイニング朔(新潟県長岡市)、魚沼炉端焼き鮮極(新潟県南魚沼市)、kitchen105(新潟県柏崎市)が出場。

プレゼンでは飲食業という生業への思いの丈に加え、各店舗の具体的な経営戦略とその強み、実績にまで言及する。例えば、kitchen105はあえて客の回転率を下げる既存飲食業とは逆を行く戦略を発表。滞在時間を延ばすことによる客単価の向上や、客とのコミュニケーションを重ねることによる満足度の向上などを目指しているという。またほかの発表者も、地元牧場との協力や人材教育の方法など、各店舗独自の取り組みを熱弁した。

観客として参加した飲食業の男性は「普段関わることもないような県外の取り組みや、私たちが思ってもいなかったような取り組みを知ることができた。(自分の店でも)実践できることがあるんじゃないかと考えた」と話す。

審査は覆面調査による点数に、審査員と観客によるプレゼンの審査が加えられての評価となり、地元山梨を盛り上げるために奮闘する魚屋ちからが見事地区優勝に輝いた。今後最終予選を経て、全国大会に出場できるかどうかが決まる。全国大会は11月16日、再び新潟県民会館を舞台に行われる。

魚屋ちからの赤座亮店長は「毎日営業前に練習してきたことが全力で皆さんの前で発揮でき、それを評価してもらえたのだと思う。(他店の発表を見て)それぞれが理念に則りしっかりやっている姿を見て、自分たちも現状で満足せずもっと良いものを作っていきたいと思った。全国大会がもう一度新潟で行われるので、その時にまた壇上に上がれるよう頑張りたい」と次の目標へ向け気を引き締めた。

kitchen105 発表の様子

魚沼炉端焼き鮮極 発表の様子

和ダイニング朔 発表の様子

(文・撮影 鈴木琢真)

© にいがた経済新聞