日活名作映画を特集上映 今村昌平、鈴木清順に貴重な田中絹代監督作品などが登場

日活の名作映画のデジタル復元版が東京・シネスイッチ銀座で特集上映される。今年度のヴェネツィア国際映画祭クラシック部門に選出された「神々の深き欲望」「殺しの烙印」など、過去10年間に世界50カ国以上で上映された8作品が登場。特集上映「Nikkatsu World Selection」は11月3日から10日まで開催される。

特集に登場するのは「殺しの烙印」(1967年)、「神々の深き欲望」(1968年)、「月は上りぬ」(1954年)、「乳房よ永遠なれ」(1955年)、「㊙色情めす市場」(1974年)、「丹下左膳余話 百万両の壺」(1935年)、「河内山宗俊」(1936年)、「幕末太陽傳」(1957年)の8作品。

今年の第79回ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門(ヴェニス・クラシックス)に選出された「神々の深き欲望」は今村昌平監督、「殺しの烙印」は鈴木清順監督と、日本映画の名匠が登場。昨年の同映画祭同賞に選出され、日活ロマンポルノの中でも傑作と呼び声が高い田中登監督の「㊙色情めす市場」。川島雄三監督の代表作であり第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門にて上映された「幕末太陽傳」。小津安二郎監督がその才能に嫉妬したといわれる山中貞雄監督の作品は、第33回東京国際映画祭クラシックス部門で上映された「丹下左膳余話 百万両の壺」と「河内山宗俊」。「丹下左膳余話 百万両の壺」は、戦後カットされた幻のシーンを本編に加えて復元。「河内山宗俊」には、伝説の女優・原節子が当時15歳で出演して、可憐なヒロインを演じている。

そして、大女優でありながら日本で2人目の女性監督として活躍した田中絹代の2作品の上映は特に貴重。カンヌ国際映画祭代表補佐であるクリスチャン・ジュンヌ氏に「なぜ今まで話題になっていなかったのか。我々はやっと田中絹代監督の偉大さを発見した」と言わしめた、「月は上りぬ」は第74回カンヌ国際映画祭のクラシック部門に選出された。監督としての才能は、近年、世界中で〝新しい発見〟として驚きをもって注目を集めており、パリで劇場公開されると、映画館に行列ができるほどの人気に。田中監督の特集上映はニューヨーク、リンカーン・センターでも大盛況で、現在は、ロサンゼルスのアメリカン・シネマテークで実施中。また、昨年、東京国際映画祭で上映された「乳房よ永遠なれ」は今年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で上映された。若くして逝った実在の歌人・中城ふみ子の生の煌めきを見事な演出で描いた。

(よろず~ニュース編集部)

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