住宅景況感、戸数・金額ともにマイナス―住団連調査

住宅生産団体連合会は8月23日、ハウスメーカーなど15社を対象とした「経営者の住宅景況感調査(令和4年度第2回)」を報告した。

令和4年度第1四半期(4~6月)の総受注実績は、予想では金額で5期連続のプラス、戸数は0(増減なし)を見込んでいたが、受注戸数は-41ポイント、受注金額は-5ポイントとなり、ともにマイナスとなった。長引く新型コロナの影響や部資材価格の高止まり、ウクライナ危機による物価上昇などによる不透明感から「顧客は契約に慎重」との見方が色濃く出た。

戸建棟数減少による売上減を補う手だてとしては「ZEH推進などにより1棟当たりの単価を高水準に」「賃貸住宅やリフォームで受注を確保」などが挙げられた。令和4年度第2四半期(7~9月)の受注見通しは、受注戸数-41ポイント、受注金額-32ポイントと、6期ぶりにマイナスとなる予想。

部門別に見ると、戸建注文住宅は-54ポイント、受注金額は-27ポイントとなり、当初の見通しを大きく下回った。コメントでは「物価高、ウッドショックなどによる顧客マインドの低下」「住宅展示場の来場者の減少」などのマイナス要因が挙がった。

その一方で、「こどもみらい住宅支援事業などの政策への期待」「電力不足やエネルギー価格高騰を背景にしたスマート系オプション搭載率の増加」「原材料高の更なる上昇前の駆け込み」などのプラス要素も見られた。第2四半期は受注戸数は-43ポイント、受注金額-27ポイントとなり、戸数では2期連続、金額では6期ぶりのマイナスとなる見通し。

戸建分譲住宅は受注戸数-38ポイント、受注金額-13ポイントで、4期連続のマイナスに。需要は堅調だが、「優良な土地の取得環境が厳しい」「販売在庫が不足している」との意見が目立った。来期は受注戸数が-6ポイントで5期連続マイナスとなるものの、受注金額は5期ぶりにプラスに転じ、+13ポイントとなる見通しとなった。

低層賃貸・リフォームは好調

環境対応が追い風に

低層賃貸住宅は受注戸数が+36ポイント、受注金額は+86ポイントと好調。「3階建を中心に契約金額が増加」「ZEH対応の新商品が好調」「高付加価値化により大型化」などのコメントがあった。第2四半期は、引き続き好調を予想するものと、ウクライナ情勢など社会情勢不安を挙げるものとに意見が分かれ、受注戸数は-9ポイント、受注金額は0(増減なし)と、戸数では3期ぶりのマイナス予想となった。

リフォームは環境系商品(太陽光・蓄電池)の好調や、大型リフォームが順調に推移したことなどから、受注金額が+19ポイントとなり、3期連続のプラスに。来期も受注金額+35ポイントと好調が予想される。

コメントからも「環境系商品の好調を維持し改装工事を拡販」「定期診断からの商談化でニューノーマル対応ニーズを捉える」「長期優良住宅対応リフォームの推進に力を入れる」「リアル見学会とオンラインによる集客で受注伸長を目指す」など、積極的に新たなニーズを取り込もうとする姿勢がうかがえた。

向こう6カ月の住宅市場については、「所得の伸び」は15社中3社が「上がる」と回答したが、残り12社は「変わらず」と回答。「家賃の動向」は3社、「金利の動向」は7社が「上がる」と答えた。前回調査ではともに「上がる」との回答は0だった。

「地価の動向」は、前回3社だった「上がる」の回答が5社に増加。「展示場来場者数」は「減る」が8社(前回は7社)となった。技能職人は「充足」が9社(同5社)、「不足」が6社(同10社)と回答し、雇用状況の変化が感じ取れる結果となった。

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