独占密着 ヒルトン広島 開業の舞台裏 新人たちの奮闘

広島の新たなランドマーク、「ヒルトン広島」。来年、開催される「広島サミット」も控え、国内外から広島が注目を集める中、世界的なホテルチェーン「ヒルトン」が、中四国地方に初進出します。

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広島の自然美や伝統を表現したモダンな客室が、全420室。最高階22階には、エグゼクティブラウンジ、レストラン、バーは4つ、大規模な国際会議にも適した宴会場を19室も完備しています。

このゴージャスなホテルでお客さまのおもてなしを担うのが、69人の新入社員たちです。

ヒルトン広島 人材開発担当 黒木敬子さん
「平等ではなく公平です。がんばった人には、がんばった分だけ評価がくだる」

新人たちの舞台裏を3か月間にわたり密着しました。

ヒルトンは、世界122の国と地域に約6900(約110万室)のホテルを展開。世界で最もおもてなしの心にあふれた企業であることをミッションに掲げ、これまで100年以上の歴史で30億人を超える宿泊客を迎えたそうです。

ヒルトン広島は、ヒルトンブランドとして中四国地方初の進出。来月1日に開業して、施設の一部がオープン。そして、10月中旬にグランドオープンを迎えます。

そんなヒルトン広島に6月に入社した69人の新入社員の成長と、開業に向けてのホテルの舞台裏に密着しました。

6月1日。新入社員たちにとっては初出社となります。従業員通用口はまだパーティションで覆われています。宴会場が新入社員の控室として用意され、夢と希望に胸をふくらませた69人が一堂に会しました。

新入社員 西内香寿美さん
「不安とか緊張もあるんですけど、とっても楽しみにしています」

小林康秀キャスター
「新入社員のそばにいらっしゃるこちらのみなさんは、全国のヒルトンから、きょう、着任したばかりというみなさんです」

開業に向けて異動してきたスタッフの姿も―。

ヒルトン東京ベイから
「わたしは地元なので、地元を盛り上げようと思って戻ってまいりました」

ヒルトンアデレードから
「広島は初めで。すてきな街なので、これからがとっても楽しみ」

ヒルトン東京ベイから
― 新入社員の様子を見て?
「みんな、目がキラキラしていて、このすてきな従業員と一緒に働けるのは本当に期待で一杯です」

別会場に移動しての入社式です。そこでは、すてきなサプライズが準備されていました。

小林康秀キャスター
「入社式の会場はチャペルです。新入社員たちがゆっくりと中へ入って行きます」

フラワーシャワーが新入社員を迎え、チャペルには歓声と驚きの声が上がりました。

サミュエル・ピーター総支配人
「きょう6月1日は、とても歴史に残る日になると思います。ホテルのオープンまで2か月くらいありますが、それまでの間、一所懸命働いて、一所懸命遊んで。それをモットーにがんばっていきましょう」

サプライズは、まだ続きます。

小林康秀キャスター
「コーヒーブレイクのためにパンやオードブルが用意されています」

食堂へ案内されての休憩タイム。テラス席もあり、ここが従業員用とは驚かされます。

ヒルトン広島の新入社員たちは、同級生たちからは2か月遅れての入社となり、不安もあったようです。

新入社員 桑原里穏さん
「まわりの友だちは4月入社で、さびしい部分があったんですが。わたしが遅れている気持ちがあったんですが、それを巻き返すぐらいの大きなイベントをやってくれて。すごくうれしかったし、がんばろうと思います」

午後からはさっそくヒルトンで働くための第一歩、オリエンテーションです。

ここでもサプライズの連続です。テーブルにはお菓子が置かれていて、研修中に食べてよいそうで、補充するのも自由です。まさに『もぐもぐタイム』。

そして、こちらは、16ビートに乗せてのダンスパフォーマンス。自己表現することを目的としてヒルトンでは恒例の研修だそうです。

入社1日目を終えた新入社員たちは―。

新入社員 西内香寿美さん
「みんな、個性を大切にしていて、それをチームで支えるというのが、とても印象的でした」

新入社員 池田翔大さん
「いきなりがっつり仕事っていう雰囲気じゃなかったので、すごく楽しく仕事に入る、仕事のモードに入ることができるのかなと」

入社して1週間ほど経ち、全体研修もいよいよ終盤。

この日は、新入社員全員によるプレゼンテーションです。

新入社員 尾関未来さん
「みんなでクラップしながら、ゆっくりこの人たちを囲んでいって…」

ダンスの指導を担当する人。小道具を準備するグループ。進行など全体をまとめるチーム。全員が、おもてなしのパフォーマンスに向けてチームを支えます。

最後は、総支配人をはじめ、参加者全員での大パフォーマンス大会となりました。

新人研修を担当する人事業務部の黒木さんも彼らの成長ぶりに思わず…

ヒルトン広島 人材開発担当 黒木敬子次長
「ことしの研修も終わりますが、こんなに準備してくれて…」

サミュエル・ピーター総支配人
「1・2・3! ウィアー・ヒルトン!」

「ウィ・アー・ホスピタリティ!」

ヒルトン広島 人材開発担当 黒木敬子次長
「ようこそ。ヒルトン広島への気持ちを込めて、プレゼントです」

ヒルトン広島のスタッフとなった証しとして、ポロシャツや帽子などがプレゼントされました。

研修中、毎日、ネームプレートには各自、その日の目標を記入していました。

新入社員
「1日目と全然、違います。書いた量だけでわかりますよ」

新入社員 西内香寿美さん
「1週間のオリエンテーションを通して、チームメンバー全体が、ヒルトンらしくなったとすごく実感しています」

新入社員 池田翔大さん
「クオリティとスピードの両方を追及することの大切さを学びました」

ヒルトン広島 人材開発担当 黒木敬子次長
「残酷ですけど、ここは外資系のホテルです。なので、みんなに底上げというのは一切、しません」

「平等ではなく、公平です。がんばった人にはがんばった分だけ評価がくだる。そうじゃない人、もしくは会社が求めるものじゃないという人には、それだけの評価しかない」

黒木さんはこれから先、行き詰まったときには、この新人トレーニングに立ち返ってほしいといいます。

オープンに向けてホテルでは、続々と備品が搬入されていきました。

小林康秀キャスター
「これはベッドの土台部分です。ちょうどセミダブルベッドの広さです。横を見ますと部屋番号が書いてあります。こういった箱が700から800くらい搬入されるということです」

1個当たり重さが70から80キロという備品が、次々と運び込まれていきます。

こちらでは、ホテルならではの台車など、さまざまな備品が並んでいました。そして、災害などに備えた非常用の飲料水も続々と運ばれていきます。

この日、新入社員たちは、配属先が決まり、新たな1歩を歩み始めました。

新入社員 中垣葉月さん
「仕事内容をよくわかっていないんですけど。1人なんですけど」

「1人じゃないよ! 見て、いっぱいいる」

こちらは、レストランやバーなど料飲部門に配属された新人たちです。

セールスやPRを行う営業・企画部門では、こんな自己紹介をする新人も…。

新入社員 栗山千桜さん
「(橋の上から)魚を見ていたら警察官の人にお尻をぐいっと引っ張られて、いやいや、そんなに早まらなくていいから」

夜のランニング中に橋の上で起きたエピソードに一同、大爆笑です。

ハウスキーピングに配属された2人は、さっそく先輩に指導を受けていました。

ハウスキーピング担当 片山雅統さん
「さっき言ったエグゼクティブルームのツインとキング。34平方メートルなのか」

先輩の一言ひとことを熱心にメモをとっていました。

宿泊予約などを担当する配属先では、先輩からメッセージボードが用意されていました。

新入社員 伊藤咲音さん
「メッセージまで入っていて、本当に涙ウルウルで、うれしいです」

新入社員 石川友喜さん
「わたしが希望したのはベルコンシェルジュで。でも電話対応とかもやってみたいと思っていたので、がんばりたいと思います」

配属先の希望がかなった人もいれば、そうでない人も。それぞれ社会人としての第1歩がスタートしました。

毎日のように備品が搬入される中、ホテルではおよそ100人のスタッフが参加してのイベントが行われました。

「運動ができるかっこうで集合」という指示以外は、何も聞かされていないみなさん…。

「靴とか靴下を脱いでいただければ」

始まったのは、何とヨガ。仕事への活力を生みだそうというヒルトン恒例のプログラムで、広島では、これが初めての開催です。

インストラクターのかけ声に合わせ、さまざまなメニューにチャレンジしていきます。2人から3人、そしてグループへとチームの人数がどんどん増えていきます。

そして、最後はクールダウン。穏やかな時間の流れが会場を包みます。

およそ1時間のプログラムを終えた新入社員は―。

新入社員 西本理帆さん
「すごくやる気が出て、毎日、楽しいので、仕事もがんばろうと前向きになっています」

開業まで1か月を切り、館内の装飾も仕上がる中、ヒルトンを身近に感じてもらおうと、自慢のスイーツをデパ地下で販売する企画を実施。でき上がったばかりのケーキが、慎重に運び込まれました。

ホテルのスタッフが、販売の準備を進めていきます。こちらでも新入社員の姿が…。

新入社員 船田萌さん
「初めてでドキドキです」

そして、もう1人。報道対応しているのが、広報に配属された新人です。

新入社員 岡村美和さん
「もともとの日替わり4種にプラスして、数量限定のシャインマスカットが入って合計5種類」

テキパキと現場対応していました。

今回、初代ペストリーシェフに就任したのは、東京ヒルトンでも活躍した鷲見真奈美さんです。早朝3時から準備したそうです。

ヒルトン広島 鷲見真奈美ペストリーシェフ
「開業という経験が今回、初めてなので、日々刻々といろいろな状況が変わっていくので、毎日がエキサイティングな日々を送っておりますが、9月1日の開業にはなんとか万全の体制で臨めるようにがんばっております」

福屋のスタッフも興味津々です。

福屋スタッフ
「宝石みたいで、すごくキラキラして、すてきだなと見てました。朝から列ができるんじゃないかと思います」

予想どおり、販売会開始早々、長蛇の列ができました。列の中には視察に訪れた競合するホテルスタッフの姿もありました。

初日のこの日、用意された100個のケーキが1時間で完売という盛況ぶりでした。

新人の中には、系列のホテルで研修を行っている人もいます。

新入社員(ベトナム出身) グエン・ティタオ・ヒエンさん
「開業する前にちょっとニセコの方で勉強させていただいて」

広島が開業前ということで、北海道でフロントの研修を受けているのは、ベトナム出身のグエン・ティタオ・ヒエンさんです。

新人のオリエンテーションでは、こんなことを言っていました。

グエン・ティタオ・ヒエンさん
「実はわたし、きょうまではあまりみんなの前で話せなかったんですよ。外国人でもあるし」

グエンさんは、ベトナムの大学に進学しましたが、日本の文化に興味を持ち、中退。福岡の日本語学校などで4年間学んで、日本で就職する夢を果たしました。

グエン・ティタオ・ヒエンさん
「日本のサービス業っていうのは、おもてなしが一番。わたしの中でも世界で一番だと思っていて」

新人研修を担当した黒木さんもグエンさんに期待しています。

ヒルトン広島 人材開発担当 黒木敬子さん
「ニセコでほかの同期よりも先にチャンスを捕まえて接客するという経験を身に付けて帰ってきてくれるかと思ったら、ものすごく心強いです」

今月末にはおよそ2か月間の研修を終えグエンさんが、広島に戻ってきます。

グエン・ティタオ・ヒエンさん
「落ち込んだり、うまくいかない日もあるんですけれども。同期とチームメンバーとみんなでがんばって支え合って、ヒルトン広島を日本一!目指します」

広島でも新人たちは招待客を招いてのトライアル宿泊で日々、研修に励んでいました。

6月末に配属された部署でそれぞれが開業に向けて成長した姿を見せてくれました。

新入社員 船田萌さん
「お店もでき上がって、やっと実感がわいてきた感じです」

配属先のフローラウンジで、研修で学んだラテアートを披露してもらいました。

新入社員 船田萌さん
「愛情をしっかり込めました。ぜひ」

フロントの裏側では、新人のトレーニングが行われていました。

新人社員 中原翼さん
「チームメンバーのため。お客さまのため。地域のみなさまのため」

日々の業務の中でも時間を作ってヒルトンの基本を徹底的に反復していきます。

小林康秀キャスター
「ここは、予約を取り仕切る部屋です。彼女はどうでしょう?」

コマーシャル・予約担当 寄能美恵さん
「前はたどたどしく言葉を探ろうとしていたことが、すらすらと出てくるようになり、すごくいいなと」

新入社員 石川友喜さん
「ありがとうございます」

― 開業に向けて
「緊張がすごくあります」

― 眠れていますか?
「夜は寝れています」

間もなく新人たちが、ホテルを訪れる人たちを笑顔で迎える日がやってきます。

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