「紫式部推し」市役所に広がる紫色 ゆかりの福井県越前市、2024年大河ドラマ決定で職員が服やマスクに取り入れ

福井県越前市ゆかりの紫式部にちなみ、服装やマスクに紫色を取り入れて勤務する市職員=越前市役所
紫色の和紙製ブローチをえりに付ける山田賢一市長。胸元には紫のポケットチーフも

 福井県越前市ゆかりの紫式部を主人公とする2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送が決まり、名前にちなんで紫色の服やマスクを自主的に身に着ける動きが市職員の間でじわりと広がっている。同年春の北陸新幹線越前たけふ駅開業を見据え、紫式部を核にした地域ブランディングに力を入れる越前市。機運醸成は、まず身の回りから?

 越前国の国府が置かれていた越前市は、紫式部が生涯で唯一都を離れて暮らした地。山田賢一市長は、大河ドラマ放送決定を市の情報発信や観光誘客に生かすため、部局横断の市プロジェクトチームを6月に設置。庁内の“紫色ブーム”は、この前後から見られ始めた。

⇒2024年大河ドラマは紫式部…「光る君へ」吉高由里子さん主演

 秘書広報課の30代女性職員は、感染予防に紫系のカラーマスクを着用し、「紫式部推し」をさりげなくアピール。別の男性職員は「そういえば家にあった」と持ち出した紫色のシャツを着こなす。眼鏡や靴ひも、水筒などの小物に紫色のワンポイントを取り込む職員もいる。

 「きょうで3日連続の紫色です」と話すのは、チーム員で市政策推進課主幹の辻川千智さん(45)。濃淡やトーンの違う複数の紫色のブラウスを勤務時の服装に取り入れる。名札を提げるストラップも薄紫色でそろえた。来客から理由を問われることもあり、「紫式部のゆかりを紹介する会話のきっかけになっている」という。

⇒大河式部、武生シーンは 都離れ暮らした若き日…源氏物語創作の原動力

 山田市長のスーツの襟元を飾るのは、越前和紙で作られた紫色のブローチ。人間国宝の岩野市兵衛さん(88)が漉いた和紙を使った杉原商店(同市)による品で、新たに制作した紫色バージョンの寄贈を受けた。出張先の面会相手に紹介する機会もあり、紫式部の話題を入り口にして市内の産地に根付く伝統工芸の魅力も伝えている。

 「(紫式部とのゆかりを示す)目に見えるものは少ないので、シンボリックなものを見せていくのが大事」と山田市長。誰が呼び掛けたわけでもなく広がった職員たちの動きについて、「市役所が盛り上がって、市民が盛り上がれば、外への発信につながるはず」と、認知度向上のきっかけの一つとして期待している。

© 株式会社福井新聞社