ファジ配信 ユーチューブ好評 SNSで若いファン掘り起こしも

練習後の選手の様子を撮影するファジアーノの映像担当スタッフ=政田サッカー場

 J2ファジアーノ岡山が配信する動画投稿サイト・ユーチューブのクラブ公式チャンネルが好評だ。チームの様子や選手のリアルな魅力を伝える内容で、今年の再生回数は半年間で69万回と昨年の1.7倍のペースで推移。クラブは若いファン層の掘り起こしも視野にSNS(交流サイト)の幅広い活用を目指す。

 政田サッカー場(岡山市)で連日、ビデオカメラを手にプレーを追いかけるのはファジアーノの社員だ。練習後のインタビューで選手の素顔を引き出し、スタジアムでは勝利直後のピッチに入ってイレブンが歓喜する姿やコメントを収める。こうした映像は専属の社員2人が5~20分程度の“番組”に編集。ユーチューブのクラブ公式チャンネルに週1、2回アップする。

 新型コロナ禍によるファン離れを防ぐため、2020年夏から注力するユーチューブ。延べ再生回数は20年が55万回、21年は83万回。今年は6月末時点で69万回に達し、初めて年間100万回を突破する見込みだ。「クラブ自ら制作するからこそ内容にこだわっている。さらに充実を図る」と斉藤めぐみ広報は話す。

 クラブによると、コロナ前のホームゲーム入場者(19年)は40歳以上が7割を占め、19~22歳は「3%」にとどまったという。一方、現在ユーチューブの視聴者は24歳以下が「30%」に上る。「スタジアムには来ない若者もファジアーノには興味があることが分かった。来場につながる策を講じていく」。北川真也社長はユーチューブを含むSNSに活路を見いだす。

 “追い風”も吹いている。今季からJリーグは個人が撮影した試合写真のインターネット投稿を解禁した。ファジアーノもホームページに「一緒に盛り上げてほしい」とサポーターによる情報発信を促す。

 現在、ツイッターやインスタグラムにはファジアーノ関連の写真が次々投稿されるようになり、スタジアムには一眼レフカメラを持ったサポーター、若い女性の姿が増えたという。クラブは13日の山口戦でピッチ脇から写真撮影できる座席を新たに設けた。

 若者と親和性が高いSNS。新たなファンを取り込む上で、欠かせないツールとなっている。

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