【特集】香川県知事選 12年ぶりに新人2人の争い 候補の訴えと低投票率が続く背景は

8月28日投開票の香川県知事選挙についてお伝えします。立候補しているのは届け出順にいずれも無所属、新人で共産党が推薦する中谷浩一さん(61)と自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党が推薦する池田豊人さん(61)の2人です。
今回の知事選は現職の引退で12年ぶりに新人同士の争いとなりました。それぞれの候補の訴え、そして、知事選で低い投票率が続く背景を取材しました。

新人候補2人の訴えは

(無・新/中谷浩一 候補)
「政府言いなりの冷たい県政から命や暮らしを守る、希望のある県政に変えるために知事選挙に立候補いたしました」

中谷浩一さんは坂出市出身の61歳。中学校の講師や政党の機関紙記者などを経て現在は、共産党県委員会の委員長を務めています。

(無・新/池田豊人 候補)
「ぜひ、この私の経験を県民の発展に生かしたいと思いまして、立候補を決意したところでございます」

池田豊人さんは高松市出身の61歳。旧建設省と国土交通省に35年間勤務し、近畿地方整備局長や道路局長を歴任しました。

2人とも、訴えの中心に置いているのが「人口減少対策」です。香川県の人口は1999年の約103万人をピークに減り続け、7月時点で約93万5000人です。

中谷さんは国民健康保険料の引き下げや最低賃金のアップなど「暮らしやすさの実現」を公約に掲げています。

(無・新/中谷浩一 候補)
「やはり安心して暮らせる将来に希望が持てれば、子どもも増えると思いますし暮らしを支えることがなければいくらインフラを作っても人口は増えないと思う」

池田さんは、出産時のサポートや病児保育の充実などの子育て対策に力を入れ、「住みたくなる香川」を目指すと訴えます。

(無・新/池田豊人 候補)
「香川で子育てをしたいと思う。これが若い人が離れなくなるし香川にむしろ移ってくる。それから実際に子どもの数が増えてくる」

一方、インフラ整備、とりわけ経済界を中心に要望が強い「四国新幹線の実現」について、2人の意見は大きく分かれます。

(無・新/池田豊人 候補)
「(四国新幹線は)絶対に将来的に実現しなくてはいけない基本的なインフラだと思う。やはり高速道路だけでは広域的に人を四国には呼び寄せられない」

(無・新/中谷浩一 候補)
「(新幹線で高松ー新大阪間が)29分短縮できるというのが悪いとは言いませんけど、そのために莫大な税金を使うし、そういう税金の使い方そのものが本当に県民のためになるのか、暮らしに役立つのか」

今回の知事選では、共産党などで作る市民団体「明るい民主県政をきずく会」の候補者擁立作業が難航。中谷さんの立候補表明は告示が10日後に迫った8月1日でした。

一方、5月に出馬表明した池田さんは告示前に新型コロナに感染し、出陣式はオンラインであいさつ。候補者本人が県内を回る実質的な選挙活動は16日からとなりました。

知事選で低い投票率が続く背景は

そんな今回の知事選、県民の関心は……?

(有権者は―)
Q.知事選があるのは知ってた?
「いや、知りませんでした。(中略)多分仕事なんで行かないと思います」
「何か変わるのかなっていう行ったところで、何か香川県が変わることがあるのかなと思っているので正直あまり興味がない」
「分からないです。2人でしたかね、それぐらいしか分からないです」

香川県知事選の投票率は、1986年以降、9回連続で40%を下回っていて、4年前の前回は29.34%と過去最低となりました。

この間、知事を務めた元・副知事の平井さん、官僚出身の真鍋さん、浜田さんは、いずれも共産を除く国政の与野党「相乗り」の構図で選挙を戦ってきました。

地方自治に詳しい香川大学法学部の三野靖教授は「知事選の候補者の選定過程の問題が投票率の低さの一つの要因になっている」と指摘します。

(香川大学法学部/三野靖 教授)
「知らぬ間に、県民不在のままに選挙の候補者になる人を連れてきていると。最終的に相乗りになる、それはやむを得ないと思います。でも、その相乗りの前に、それぞれが候補者の候補者を立てるくらいのことをして、例えば公開討論会をやって、この人が知事候補としてそれぞれの政党なり会派が推薦する候補者として適任じゃないかという、事前のいわばプレ選挙みたいなものをやるとかね。そうでないのにいつの間にか新聞発表で『この人、連れてきました』ってなるわけですね」

香川県で長年続く知事選の「構図」。今回の候補者2人はどう受け止めているのでしょうか?

(無・新/中谷浩一 候補)
「それぞれの党の皆さんがご判断されたこととは思うんですが、平和の問題についても(国政与党は)憲法を変えるとか言ってますから、そういうことに地方からも声を上げようと思ったら、市民と野党の共闘なども前に進めたいと願ってはいるんですが、そういうふうにならなかったのは、ある意味残念です」

(無・新/池田豊人 候補)
「各党さんも、それぞれその党を支援いただいている方の意見を反映した意見をお持ちで、いろいろ利害が対立する場面ももちろんあると思います。そういう場合は粘り強く合意形成を図るということになると思う」

香川県知事選挙は8月28日投票で即日開票されます。

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