「なつお」の挑戦 滝澤夏央選手の活動報告〈4〉1軍の輪に早く自分も 戦列離れ不安も前向きに

 7月上旬にチームメイトのコロナウイルス感染を受け、即スタメン起用となった滝澤夏央。「先輩を意識しすぎてしまうと自分のプレーができなくなるので、僕はまだまだ先輩たちにはかなうはずがない、自分のプレーをしっかりしよう、と思って試合に出ていました。これからずっと1軍に帯同するためには、こういう時にしっかり結果を出さなければ今後、大事な時にも使ってもらえないと思ったので、そういう意味ではチャンスだと思いましたし、覚悟を決めました」と当時の心境を話した。

前向きに練習する滝澤(球団提供)

 しかし、数日後には自身が感染してしまい、寮での隔離生活で体を動かせない日々を過ごすことになる。陰性が確認されてからはまずウオーキングから始め、翌日にはキャッチボールを開始した。「本当に久しぶりに外に出たので、体を動かせることを楽しみにしていたのですが、実際は本当に体が動かなくて、想像以上に体力が落ちていることに驚きました。感染したのが1軍に帯同していた時期だったので、また戻ることができるのかどうか、すごく不安になったのを覚えています」と振り返った。
 ベッドの中でもバットを握っていたという滝澤だが、久しぶりに振ったバットは重く、これも想像を超えていた。だが、その事実でさえ「勉強になった」とあくまで前向き。「感染してしまったことは仕方ない」と、早い段階で気持ちを切り替えられたことは本人としても安心材料になったようだ。

練習後にポーズを取る(同)

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 実戦復帰1戦目は8月5日にCAR3219フィールドで行われた新潟アルビレックスBCとの練習試合。この日は遊撃手でスタメン出場し、3打数1安打だった。「試合感覚の鈍りは感じませんでしたが、体力面でまだ完全に戻っていないなと感じましたし、本来の自分の動きができませんでした。でもそんな中で、まず1本ヒットが出てホッとしています」と安堵(あんど)の様子。その後も徐々に打席を増やし、8月後半に入り、1試合で1ヒット打つほどに状態を上げてきている。
 そんな滝澤に、うれしいニュースが届いた。出身の幼年野球チーム「三郷タイフーン」が新潟県代表として全国大会に出場することが決まったというものだった。滝澤は試合中にスタンドに飾れるように〝のぼり旗〟に自身の名前を入れて寄贈した。残念ながらチームは初戦敗退となったが、自身も全国大会出場を目標に練習していただけに、後輩の頑張りに拍手を送った。
 また、夏休みの小さい頃の思い出は、直江津祇園祭。「母の実家が直江津なので、直江津祇園祭の花火大会は毎年家族で行っていました」と、懐かしい表情で話してくれた。
 西武の1軍は首位をキープしており(23日現在)、残り30試合を切っている。「毎日1軍の試合をテレビ等で見ています。勝ちが続いていて、チームの雰囲気もすごくいいなと感じています。あの輪の中に自分が入っていけるように、ファームでしっかり結果を出して、アピールしていきたいと思います。焦りはありませんが、1日でも早く1軍に上がりたいと思っています」と決意を新たにした。(西武ライオンズ広報部)

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