ウクライナ侵攻から半年 神奈川県内への避難民支援に新たな課題

日本人スタッフとともに、盆踊りを楽しむウクライナから避難してきた人たち=12日、横浜市西区

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって24日で半年がたった。停戦交渉は進まず、いまだ激しい戦闘に終わりが見えない。県内に逃れた人は100人超。自治体や企業がさまざまな支援に乗り出す中、長期化する避難生活で支援のニーズは多様化し、新たな課題も生じている。

 ステレオから大音量で流れる「東京音頭」。部屋の中央に集めたテーブルを「やぐら」に見立て、その周囲を子どもから大人まで約20人が輪になって踊る。

 参加者の多くはウクライナから避難してきた人たちだ。浴衣姿の日本人スタッフの振り付けを見よう見まねで、軽快なリズムに合わせて盆踊りを楽しんだ。

 8月中旬、横浜市が避難民支援の一環で横浜国際協力センター(西区)に設けた交流カフェで催されたワークショップでの一こま。

 カフェの名前は「ドゥルーズィ」。ウクライナ語で「友達」という意味だ。避難してきた人たちが母国語で情報交換できる場として4月にオープンした。

◆県内に100人超

 県によると、県内に避難しているウクライナ人は計109人(15日現在)。そのうち90人が横浜市で暮らしており、その数は県内最多。もともと県内には204人が居住し、その約6割が同市内といい、「身内や知り合いを頼って避難してきているのではないか」と担当者は説明する。

 多くの避難民を受け入れる横浜市。ウクライナ南部の港湾都市オデッサ市と姉妹都市提携している縁もあり、さまざまな生活支援に力を注いでいる。

 市は4月、避難民に対する支援策をまとめた「オール横浜支援パッケージ」を発表した。民間企業と協力し、2~3週間程度を想定した一時滞在施設や当面の生活費の申請手続きに加え、家財道具がそろった市営住宅を無償で提供。生活する上で必要となる銀行口座の開設や日本語学習、就学などもサポートする。

© 株式会社神奈川新聞社