社用車のアルコールチェック、電話で代行 企業負担減へ新サービス 横浜のスタートアップ企業 

ジェネクストは来月1日に「アルコールチェック代行サービス」を開始する=横浜市港北区

 飲酒運転の根絶に向け、「白ナンバー」を付けた社用車の運用ルールが厳格化される中、横浜のスタートアップ企業が、法人対象の新サービスを相次いで打ち出している。社用車の管理業務を効率化する無料アプリの公開に続き、来月には24時間体制のコールセンターを開設。現場の負担を軽減する仕組みを整え、経営理念に掲げた交通事故の撲滅にまい進している。

 「新たなルールを順守している企業は少数派。このままでは『仏つくって魂入れず』になりかねない」。法人向けの交通安全システムを手がけるジェネクスト(横浜市港北区)の山地瞭取締役は、そんな危機感を募らせている。

 4月の道交法施行規則改正により、一定台数以上の「白ナンバー車」(自家用車)を所有する事業所の担当者には、ドライバーに対する原則目視でのアルコールチェックと記録の保存が義務付けられた。適用対象の事業所は全国で34万近くと、膨大な数に上る。

 ただ、同社は「相当数の中小企業が運用体制を整備できていない」とみる。先月下旬に実施したアンケートでは、対応に不備のある企業が75%に達する実態が浮かび上がった。

 最大の原因は「運転者のアルコールチェックを即時に実行しなければならない点にある」と山地取締役。運転開始前の酒気帯び確認などにより、痛ましい輪禍を防ぐのが同施行規則改正の趣旨だが、チェック役を担う社員の確保は中小企業にとって「ハードルが高い」との思いを強くした。

 そこで同社は来月1日、アルコールチェックの代行サービスを始める。24時間対応のコールセンターを開設し、社用車のドライバーから専用のアプリを通じて要請を受け次第、オペレーターが電話をかけて酒気帯びの有無を確認。結果などを記録に残し、各社の担当者と共有する仕組みだ。

 同様のコールセンターを展開している企業は既に複数ある。ただ、ジェネクストは、先行公開している社用車管理の無料アプリ「アイ・コンタクトフリート」などとひも付けることで、オペレーターの業務時間を短縮。「圧倒的な最安値」という「1コール59円~」を実現した。 

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