スピード違反激減、活用進む「移動式」オービス 固定式は老朽化で姿消す

可搬式オービス(京都府警提供)

 京都府内で、移動式の自動速度違反取り締まり装置(可搬式オービス)の活用が進んでいる。従来は取り締まりが困難だった通学路や生活道路を中心に使われ、高速道路でも速度抑止に効果を発揮する。一方で、昭和から平成にかけて主要道路に設置された固定式のオービスは、老朽化などで役目を終えつつある。

 京都府警は2019年9月、通学路や生活道路での速度取り締まりを目的に、可搬式オービスを2基導入、21年3月に計6基に増やした。

 府警交通指導課によると、導入以降、可搬式オービスの活用は増えており、19年26回、20年144回、21年597回、今年は6月末までに345回を数える。このうち、児童生徒の通学路での活用が毎年80%前後を占めており、学校や地域からの要望で実施することもあるという。

 京都縦貫自動車道では6月から重点活用されている。活用開始前後で10キロ以上の速度超過の車が約70%から約20%に激減し、大きな速度抑止効果が出ているという。

 府警交通指導課は「2メートル四方程度のスペースがあれば稼働でき、警察官2人で使える。これまで難しかった通学路や生活道路の取り締まりが可能になり、通学路の安全確保につながった」とメリットを話す。

 一方、昭和から平成にかけて各地の主要道路に設置された固定式のオービスは、老朽化などで役目を終えつつある。

 同課によると、府内に初めてオービスが設置されたのは1978年。その後は増設が続き、2005年頃には府内に最大8基を設置していた。しかし、老朽化が進んだり、ドライバーに設置場所を覚えられたりしたことから、近年は順次撤去を進めている。

 22年現在、固定式は府内に4基設置されているが、「老朽化で稼働していないこともある」(交通指導課)という。修理や維持管理にかかる費用を考えると、可搬式オービスの方が費用対効果が高いといい、今後も置き換わりが進む見通しという。

© 株式会社京都新聞社