未来型の空港ツアー実現へ 白浜で複合現実体験会

MRグラスを装着し、仮想空間の飛行機に着色していく参加者(24日、和歌山県白浜町の南紀白浜空港で)

 和歌山県白浜町の南紀白浜空港で19~24日、特殊な装置を使って実際に見ている情報と仮想空間を重ねる複合現実(MR)技術の体験会があった。南紀白浜エアポートは、参加者からの意見を踏まえて〝未来型の空港ツアー〟を作る。来年度以降の商品化を目指す。

 約40人が参加した。眼鏡型の端末「MRグラス」を装着し、仮想空間に出てきた飛行機にスプレーやクレヨンなどで着色。その飛行機が白浜空港へ飛来して着陸するのを、実際の滑走路脇からMRグラスを通じて見学した。

 MRグラスは半透明のレンズで、実際の視界と仮想空間が重なる。特定の範囲内で高速・大容量通信の第5世代(5G)ネットワークを使うことで、複数人が同時に参加できる。ターミナルビルから滑走路脇へ移動する際は、参加者は自動運転車両に乗る。

 エアポート社によると、白浜空港と羽田(東京)を結ぶ日本航空定期便の離着陸に合わせたツアーは以前から展開しているが、定期便は1日3往復で、それ以外の時間帯を活用できないかと考えた。担当者は「実際の滑走路に仮想の飛行機が降りてくるという構図は、空港という場所でしか実現しない。その面白さを、新しい技術を使うことで体験してもらえるようにしたい」と話している。

 取り組みには、NEC、凸版印刷、日本航空(以上、東京都)、マクニカ(横浜市)が携わっている。

参加者が仮想空間で着色した飛行機。瞬時にモニターへ映し出される

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