北米の雄アンドレッティ、インディアナポリスに総工費280億円規模の新ヘッドクォーター建設へ

 この2022年現在で7つの選手権と8種類のモータースポーツ・カテゴリーに参戦し、17名のフルタイムドライバーを擁して世界中で活動を続ける北米の雄アンドレッティ・オートスポートは、アメリカ・インディアナ州に57万5000平方ft(約5万4000平方m)の敷地面積を持つ最新鋭ファクトリーの建設を表明。総工費2億ドル(約280億円)を掛け、2025年の落成と移転を目指している。

 マイケル・アンドレッティが率いるチームと、その母体となるアンドレッティ・グローバルによれば、この新鋭ファクトリーは「新進気鋭のニッケルプレート・トレイル、リッチー・ウッズ自然保護区に隣接し、インディアナポリス・メトロポリタン空港の近くにある約90エーカー(東京ドーム約8個分)の土地を使用する予定」だという。また、この新しいグローバル本社が「2026年初頭までに最大500人の雇用を地元にもたらす」ことも期待されている。

 この施設はレーシングチームの日常業務に加え、アンドレッティ・テクノロジーズの先進的な研究開発の拠点にもなる予定で、共同キャンパス内では「最新のテクノロジーを備え、チーム、ファン、パートナーの利益のためにワークライフ環境を創出」し、同時に「アンドレッティのグローバルな商業機能、および現在のNTTインディカー・シリーズ、インディ・ライツ、IMSAプログラム、その他の将来のレース構想のための運営拠点」になるという。

 アンドレッティにとって「将来の活動」にはF1への参戦が主な焦点に掲げられているはずだが、インディカーではこうした新拠点の建設計画が相次ぎ、今季序盤にはアロウ・マクラーレンSPやグラハム・レイホールが、それぞれのレースとビジネス活動のために、このインディアナに建設する大規模な新拠点を発表している。

北米最高峰、2022年のインディカー・シリーズにも、ジョイントチームを含め全5台を走らせる
インディ500覇者のアレクサンダー・ロッシは、来季からアロウ・マクラーレンSPへの移籍を表明済み
かつてのGRCには、ファクトリー体制のフォルクスワーゲン・アンドレッティ・ラリークロスで参戦した

■「永続的な遺産を残すことが重要」と代表兼オーナーのマイケル・アンドレッティ

「インディアナ州はレースの歴史において、また私のドライバーとしてのキャリアやオーナーとしての経歴において重要な位置を占めており、世界の『レースの首都』が今後長期にわたって、我々のグローバルなレース活動の拠点であり続けることを確認できて心からうれしく思う」と語るのは、代表兼オーナーのマイケル・アンドレッティ。

「この新キャンパスの建設計画は順調に進んでおり、フィッシャーズ地域の一員となることを楽しみにしている。過去20年間、私は事業の拡大に取り組んで来たが、多様なレースポートフォリオを構築するための手段を講じられたことを誇りに思っている」

 アンドレッティが初めてチームオーナーになったのは、フルタイムのドライバーとしてのキャリアを引退した後の2003年で、それから約20年の間に、アンドレッティはモータースポーツの最高峰で戦う多様でグローバルな企業を築き上げ、人類が居住可能な5大陸すべてに進出している。

 その輝かしい歴史には、インディ500での5度の勝利、バサースト1000での優勝、セブリング12時間制覇、そしてABB FIAフォーミュラE世界選手権やエクストリームEでの優勝が含まれている。

「現在の施設も我々の活動によく貢献してくれた。チームは競技と商業の両分野で規模を拡大し、社員は最高の環境と資源を手に入れるにふさわしい存在になっている。我々がさらなる構築と成長を続けるなかで、多くのチームをひとつ屋根の下に置くことができるのは、本当に喜ばしいことだ」と続けるアンドレッティ。

「我々にとっては、単にマシンを整備する場所を持つということ以上に、グローバルなモータースポーツの本拠地を持ち、それを従業員、ファン、スポンサーと共有することで、このスポーツを発展させ、永続的な遺産を残すことが重要なんだ」

WorldRX王者ティミー・ハンセンとケイティ・マニングスを起用するアンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEは、シーズン1で勝利も記録した
フォーミュラEのシーズン8にはアバランチ・アンドレッティとしてジェイク・デニスを起用し、BMW iFE.21を走らせた
F1進出計画を公言してきたマイケル・アンドレッティ。この新拠点をその足掛かりとする

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