「手を洗っても減らない」 漂うウイルスで… 空気感染の対策で専門家「換気とマスク」 扇風機などで “押し出す”

これまでにない規模で感染が広がっている第7波…。その背景について、「空気感染を前提に対策をしてこなかった」と指摘する専門家もいます。

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東北大学 大学院 本堂 毅 准教授
「新型コロナの感染を減らすために徹底的に手を洗ったとしても残念ながらあまり減らない」

空気中をただよっているウイルスを吸い込んでしまう「空気感染」。今、最も大事な感染対策は「換気」だというのです。

県内だけでなく、県外からも多くの人が集まる原爆資料館。新型コロナの感染拡大以降、気にかけたのは換気です。

資料館には窓がないため、窓を開けて換気をすることはできません。

そのため、外気を取り入れ、換気するシステムです。コロナ禍以降は常に外から新しい空気を取り入れ、換気を促進しています。

自宅だけでなく車の中や職場など、密閉された空間でも「換気」の重要さが増しているといいます。

鳥取県 平井 伸治 知事
「換気を徹底する、特にふわふわ飛んでいるエアロゾルが今回、だいぶ『わるさ』をしていますので、そのことをしっかり念頭に置いて行動して、ご協力いただきたいと思います」

これまでと比べものにならない規模の第7波に立ち向かうために本気で「換気」を考えます。

感染の第7波を食い止めるには、「対策の優先順位を見直すべきだ」と指摘する専門家もいます。手洗いや消毒よりもまず「換気」…。どうすればいいのでしょうか?

物理学や医学が専門の東北大学 大学院の本堂 毅 准教授は、「空気感染を前提として対策をしてこなかった」と指摘します。

本堂 毅 准教授
「世界的にみても新型コロナウイルスの感染というものは、空気感染が主な感染経路であるとわかっています」

空気感染とは、空気中に漂うエアロゾルと呼ばれるウイルスを含んだ小さな粒子を吸い込んで感染することです。防ぐために重要なことは「換気」です。

本堂 毅 准教授
「換気をすることによって、特に屋内とかの場合、部屋の中にたまったエアロゾルを減らしていくというのが第一です」

本堂 准教授は、同じ空間に空気を滞留させないため、定期的ではなく、常に換気をすることが重要だといいます。

ポイントとして部屋の窓を2つ空けるなど、空気の流れを作ることを挙げます。扇風機などを使って、空気を外に押し出すような工夫を加えれば、より効果が得られるといいます。

一方、飛まつ防止のために設置しているパーティションは、空気の流れを妨げる場合があると指摘します。

本堂 毅 准教授
「空気の流れを考えずにパーティションを設置しているような場面では、ほとんど役に立たないどころか、逆効果になっている場面が多いと思います。エアロゾルの全体の量を減らすためにどうすればいいかということを考えて、空気の流れを考えていただければいいと思います」

また、タクシーや自家用車などではエアコンを外気取り込みにして、状況に応じて窓を空け、換気をしてほしいとしています。

本堂 毅 准教授
「タクシーや車の中ではマスクをしっかりしてもらうことが大事です。やっぱり室内ですので、せまいところですので、感染が起こりやすいです」

感染を減らしていくために本堂准教授は、対策の優先順位を明確にすることが必要だといいます。

本堂 毅 准教授
「少なくともコロナの感染を減らすために徹底的に手を洗ったとしてもあまり減らないです。残念ながら。あるいは、どんなに消毒してもそこでは減りません」

減らすためには換気とマスクです。その2つが一番優先だというのは世界的にもみなさん、共通していますので」

◇ ◇ ◇

― 取材した寺岡 俊 記者です。新型コロナはこれまで「飛まつや接触感染する」といわれてきたので、一生懸命、手を洗って消毒していますが、それよりも「換気」だと?

寺岡 俊 記者
「飛まつ感染はせきやくしゃみなどが直接、到達して感染することです。そのため、距離をとったり、パーティションで仕切ったり、直接当たらないようにしていました。一方で、空気感染というのは空気中に漂っているエアロゾルと呼ばれるウイルスを含んだ小さな粒子を吸い込むことで感染することです。

今回、取材をした本堂准教授は、WHO(世界保健機関)など世界的にも新型コロナの主な感染経路は空気感染だという科学的知見があると指摘します。この空気感染を前提に対策を立てないと、コロナの感染は減っていかない。そのために重要なことが換気とマスクの着用だということです」

― パーティションがなくてもいいというのも驚きだった。

寺岡 俊 記者
「パーティションは、飛まつを前提にした対策で、たとえば、煙やにおいはそういう仕切りがあっても伝わっていくので、空気感染の予防効果は薄いということです」

― ひとことに換気といってもやり方はさまざま。どういったやり方がいい?

寺岡 俊 記者
「空気の流れを作ることが重要です。窓や扉だったり2つ開けて、空気の通り道を作ってあげる。空気を外に押し出すように、外に向けて扇風機を置いてもいい。そして、換気は30分に1回など定期的に行うのではなく、常に、常時、換気していることが重要だということです。

また、窓が1つでも、たとえばキッチンの換気扇を回すことで空気の流れをつくることができます。この場合、換気扇から遠い窓を開けます。換気が悪いところでは、空気清浄機を活用してもいいということです」

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