【五輪汚職】強制捜査着手から1カ月 いまだ会見開かぬAOKI 「上場企業として問題外」「説明責任果たせ」の声

前会長ら3人が逮捕されたAOKIホールディングスの本社=横浜市都筑区

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件は、東京地検特捜部が強制捜査に着手してから26日で1カ月になる。創業者の前会長ら3人が逮捕されたAOKIホールディングス(HD、横浜市都筑区)は事件発覚以降、公式な説明の場を設けていない。企業統治の専門家からは「上場企業として説明責任を果たすべきだ」との声が上がっている。

 「現時点で会見を開く予定はない」

 AOKIHDの担当者は25日、神奈川新聞社の取材にそう言い切った。事件に関する質問に対しては「ホームページ(HP)に書いてあることが全て」「捜査中のためコメントは差し控える」と繰り返した。

 同社は前会長らが逮捕された今月17日、公式HPに文書を掲載。「事態を厳粛に受け止め、引き続き捜査に全面的に協力する」「関係するすべての皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申し上げる」などとコメントした。その後、1週間が過ぎた今も、会見などの説明機会を設けずにいる。

 同社の社外取締役を務める1人は、取材に対して「お答えできない。全てはAOKIHDに問い合わせてください」とだけ話した。

 一連の経緯について、「上場企業としての責任が感じられず、問題外」と断じるのは、企業統治に詳しい牛島信弁護士。市場で株式を公開し、広く資金を募っている立場を踏まえ、「企業経営の仕組みに疑義が生じた場合には、世界中の投資家や利害関係者に最大限の説明を尽くすべきだ」と強調する。

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