同性パートナー制度10月1日に導入、福井県越前市が県内で初 宣誓カップルの行政サービス拡大

 福井県越前市は8月25日、性的少数者(LGBTQなど)の同性カップルの関係を公的に認めるパートナーシップ宣誓制度を10月1日に導入すると発表した。制度は全国225自治体(8月1日現在)が採用しており、福井県内の自治体の導入は初めて。

 制度は、あらゆる立場の住民が個人として尊重され、人生のパートナーと安心して暮らせる社会づくりが狙い。パートナーとしての宣誓書を提出した性的少数者のカップルに、公的な証明となる受領証と携帯用の受領カードを交付する。

 カップルは制度により、夫婦や家族が要件となっている行政サービスが受けられるようになる。市は、市営住宅での同居、税証明書と罹災(りさい)証明書の申請・交付、犯罪被害者遺族見舞金の4項目を導入時の対象としており、随時拡大していく方針。

 民間では、生命保険の保険金受け取り、携帯電話料金の家族割引適用など、各分野のサービスが大手企業を中心に提供されている。

 制度は、市の内部規定に当たる実施要綱に位置付けて運用する。カップルの双方が成年で配偶者がなく、少なくとも一方が市内在住であることが要件。法律上の婚姻とは異なり、法的な権利や義務は発生しない。

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 山田賢一市長が同日、記者会見で導入を正式に表明し、「越前市を、全ての人がどこに住んでいても、どんな境遇にあっても、幸せに人生100年時代を過ごしていけるような古里にしたい」と語った。

 パートナーシップ制度は、2015年に東京都渋谷区と世田谷区で初めて制定され、全国に広がった。北陸3県では石川県金沢市と同県白山市の2市が導入している。

パートナーシップ宣誓制度により夫婦・家族として受けられるサービス例 ▽行政 ・市営住宅での同居 ・税証明書の申請・交付 ・罹災(りさい)証明書の申請・交付 ・犯罪被害者遺族見舞金 ▽民間 ・生命保険の保険金受取人指定 ・クレジットカードの家族カード取得 ・携帯電話料金の家族割引 ・自動車保険の家族限定特約

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