保健所の支援などに課題 コロナ全数把握見直し 長崎県「対応策 具体的に検討」

コロナ全数把握見直し 県の検討状況

 長崎県は25日、岸田文雄首相が前日表明した新型コロナウイルス感染者の全数把握見直し方針について「医療機関や保健所の(業務の)逼迫(ひっぱく)状況が軽減すると期待される」とする一方、感染者の届け出を限定すれば、保健所による支援の見直しなど複数の課題が生じると指摘した。
 対応策について県は「今後、国の正式な通知などを踏まえ、関係機関と話し合いながら具体的に検討する」としている。
 県が課題に挙げたのは▽保健所による支援▽療養証明書の発行▽発生件数の報告体制の3項目。
 政府は、流行「第7波」における医療機関や保健所の負担軽減のため、都道府県の判断で発生の届け出を高齢者ら重症化リスクが高い人に限定できるようにするとした。
 保健所は現在、届け出情報に基づいて全ての感染者にショートメールや電話で支援制度を周知している。県によると、届け出が限定された場合、宿泊療養施設への入所や医療機関との連携、食料品や血液中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターの配布などの支援をどうするか検討が必要になる。感染者への情報提供が困難になる可能性もあるという。
 療養証明書の発行は、医療機関のほか、感染者自ら健康状態を入力する政府の感染者情報共有システム「マイハーシス」でもできる。だが県は、届け出を限定すればマイハーシスによる発行はできなくなると指摘。発生件数は、医療機関が患者の氏名や生年月日などを「ハーシス」に入力し保健所と情報共有しているが、届け出限定後はこれ以外の方法で報告を求められるようになるとした。


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