海水浴中に気付くと娘の腕に巻き付くクラゲ、母親が気をとられているうちに6歳の妹が… 夏の海で事故が続発【敦賀海保日誌】

福井県内の海水浴場

やばいよっ!やばいよっ!何とかしないとナントカシナイトナントカシナイト・・・ 冒頭から早速取り乱していてすみません・・・。 8月に入ってから福井県沿岸では海水浴の事故が起きまくっていて、早く何とかしないといけません!!

今回は、コロナの行動制限緩和で3年ぶりに賑わいを取り戻した福井の海でいったい何が起こっているのか、これをみなさんに知ってもらうのが一番の事故防止につながると考え、3つの特徴的な事故案件を紹介します。

8月上旬、福井県高浜町の海水浴場で6歳の女の子が溺れ、一時意識不明となる事故が起きました。

家族5人で海水浴に訪れていた女の子は、はじめお母さんとお姉ちゃんの3人で水深の浅い場所で遊んでいました。 すると女の子は、別の場所で遊んでいたお父さんとお兄ちゃんの元へ向かうため泳ぎ始めたのですが、このとき、お姉ちゃんの腕にクラゲの触手が巻き付くというハプニングが発生!一緒にいたお母さんは慌ててお姉ちゃんの腕に付いたクラゲを取っていたため、数分の間、誰もこの女の子のことを見ていない状況になりました・・・。

ようやくクラゲを取り終えたお母さんが振り返ると、さっきまで泳いでいた女の子がいない。あたりを探してみると、なんと海中に沈む我が子の姿が!! 駆け付けたお父さんが浜まで引き揚げると、女の子は泡を吹き意識のない状態でした。お母さんが懸命に心肺蘇生法を施したことによって女の子は息を吹き返し、救急搬送先の病院では会話できるまでに回復したということでした。 後で聞くと、女の子には始めはライフジャケットを着せていたのですが、どうしても泳ぎにくいと言うので脱がせていたんだそうです。

この事故は、海の中では絶対に子供から目を離してはいけないという教訓です。 子供は声もあげれずに静かに溺れていくもの。保護者の一瞬の油断が子供を危険へと向かわせることになります。

⇒泳ぎ始めてから20分、「海で24歳の娘が不明」と母親が通報…娘は唖然

さて、事故はまだ続きます・・・。

8月中旬、福井県福井市の海水浴場では、高校1年生の女性が沖に流されて浜に戻れなくなる事故が発生しました。

母親と2人で海水浴に訪れていた女性は、持参していたフラミンゴ型の浮き具に1人で乗って遊んでいました。 この日は、浜から沖合に向かって吹く風が約6メートルと比較的強い状況。 プカプカ浮かんでいるうちに女性が乗ったフラミンゴはだんだん沖へと流されていきます。 女性は、フラミンゴを捨てて泳いで戻ろうかとも考えましたが、泳ぎが苦手だったこともあって躊躇している間にどんどん岸から遠ざかっていきます。そしてついには、もう泳いで戻ることができない距離に・・・。 浜にいたお母さんが娘の異変に気付いたころには、もうすでに50メートル以上沖合まで流されてしまっていて、お母さんは自分が泳いで助けに行ける距離ではないと近くの浜茶屋に助けを求めました。 そんな非常事態を、この海水浴場を巡回中だった海上保安官が発見。事情を聞くやいなやすぐに海に飛び込み女性を無事に救助!事なきを得たのでした。

こういった事故は本当に多いんです。 軽くて面積が大きいフロート遊具は、軽くて面積が大きいので風に煽られると想像を絶するスピードで流されるもの。 風の向きや強さ、潮の流れにも十分注意を払っておかなければなりません。

⇒行方不明現場の磯場、残された釣り道具とビールの空き缶5本

次は、いま福井県沿岸で話題となっている「イルカ案件」です。

8月上旬、福井県福井市の海水浴場では、2人がイルカに襲われ負傷する事故が発生しました。

家族で海水浴に訪れていた30代の女性は、波打ち際から15メートルほど沖の場所で泳いでいました。 すると「ドンッ!」と体に何かがぶつかったので、咄嗟に「人とぶつかってしまった」と思い後ろを振り向くと、そこにはイルカが・・・。 女性はびっくりして浜へ逃げようとすると、なんとイルカが「ガブッ!」と手に咬みついてきたのです!女性はさらなる恐怖にかられ急いで逃げようとするのですが、イルカが今度は服に咬みついきて女性を何度も海の中に引きずり込むのです。 女性は思わず「助けて!!!」と叫びました。 近くの浜辺にいた50代の男性は、そんなただ事ではない叫び声を聞きつけ、急いで女性の元へ向かいました。 助けを求める女性の近くに行くとイルカに襲われていることが分かり、男性がイルカを遠ざけようと手をのばしたとき、「ガブリ!」と、またイルカが咬みついてきたのです。男性は痛みをこらえながら無我夢中でイルカを遠ざけることに成功し、何とか女性を救うことができたのでした。 イルカに噛まれた女性と男性は、手に切り傷などのケガを負い病院で処置を受けることになりましたが、大事には至らずに済みました。

⇒釣り、マリンスポーツ中の思わぬ事故、連載「敦賀海保日誌」を読む

いやいや、イルカこわすぎるでしょ・・・ B級サメパニック映画ばりの猛威を振るっています。 イルカを見掛けたらすぐに逃げて海から上がってください。絶対に見つけても触らないでください!

海水浴中の事故は、このほかにもたくさん起こっている状況で、死者を伴うものもあります。 安全に遊べなければ海はこわい所なんだということを頭の片隅において、残り少ない夏を楽しんでください!(敦賀海上保安部・うみまる)

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