祷キララ主演 交差点でサイレントスタンディングを始める女子高生に 山﨑樹一郎監督「やまぶき」公開決定

第75回カンヌ国際映画祭のACID部門に正式出品された映画「やまぶき」が、11月5日より劇場公開されることが決まった。

「やまぶき」は、陽の当たらない場所に咲く「山吹」から着想を得た作品で、資本主義と家父長制社会に潜む悲劇とその果てにある希望を描く。かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンスは、父親の会社の倒産で多額の負債を背負う。岡山県真庭市に流れ着き、今はヴェトナム人労働者たちとともに採石場で働いているチャンス。一方、刑事の父と2人で暮らす女子高生の山吹は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。2人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始める。

監督を務めるのは、岡山県真庭市の山間で農業に携わりながら、地方に生きる人々に光をあてて映画製作を続ける山﨑樹一郎。長編デビュー作「ひかりのおと」では、故郷・岡山に戻り酪農を継ぐ若者の苦悩と葛藤を描き、「新しき民」では江戸時代の農民一揆を題材とした時代劇に挑戦した。長編第3作である本作は、再び地元でロケ撮影を行い、初めて16ミリフィルムで撮影に挑んだ。

チャンスを演じるのは、イギリスで演劇を学んだ韓国人俳優で、初めての日本映画出演となるカン・ユンス。山吹を「サマーフィルムにのって」などの祷キララが演じる。ほかに、川瀬陽太、和田光沙、三浦誠己、松浦祐也、青木崇高らが顔をそろえる。

フランスのSurvivance(シュルヴィヴァンス)と国際共同製作され、アヌシー国際アニメーション映画祭で二冠を獲得した「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」のセバスチャン・ローデンバックがアニメーションパートを、オリヴィエ・ドゥパリが音楽を担当。また、フランソワ・トリュフォーやモーリス・ピアラ、フィリップ・ガレルなどの作品を手がけたヤン・ドゥデが編集協力をしている。

公開されたポスタービジュアルは、砂漠らしき場所を背景に、山吹役の祷キララがこちらに強いまなざしを向ける姿が映し出され、「太陽をみんなで一緒に見るひまわりじゃなくていい」という山吹のセリフがキャッチコピーとして配置されている。右側にはヤマブキの花をイメージした蛍光オレンジのタイトルロゴが大きく配置されている。

【作品情報】
やまぶき
2022年11月5日(土)渋谷ユーロスペース、12日(土)大阪シネ・ヌーヴォほか全国順次公開
配給:boid/VOICE OF GHOST
(C)2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE

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