フランス出身のアンソニー・ヤニエックが急逝。所属先はシリーズ参戦継続を表明/ETRC

 9月3~4日にチェコ共和国のアウトドローモ・モストで開催される2022年ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ第5戦を控え、フランス出身のトラックレーサー、アンソニー・ヤニエックが急逝したとの報が伝えられ、シリーズを筆頭にトラックレーシング界は「この訃報に接し、誰もが深い悲しみを覚えている」とのコメントを発表。ともにETCRで戦ってきたライオン・トラック・レーシングは、数日間の悲嘆と黙祷のときを経て、シリーズへの参戦継続を決定している。

 フランスのトラックレースで3度のチャンピオンに輝いたヤニエックは、モータースポーツの登竜門であるシングルシーターのF3で“レースクラフト”を学び、2007年からトラックレースに転向。2015年にライオン・トラック・レーシングとチームを組むまで、フランスとヨーロッパの両シリーズで『チーム14』を率いてこの世界を戦ってきた。

 8月に入って伝えられたヤニエックの訃報に接し、シリーズプロモーターであるETRAのマネージングディレクター、ロルフ・ヴェルナーは「アンソニーはトラックレースのコミュニティでその人柄を高く評価されていただけでなく、我々ETRCファミリーにとって不可欠なメンバーだった」と哀悼の意を示した。

「彼はモータースポーツに情熱を注いでおり、我々はすでに彼を失ってしまったことを心から残念に思っている。彼はトラックレースに転向して以降、多くのETRCイベントに出場し、本番でもっとも速いトラックレーサーのひとりになれることを証明してきた」と続けたヴェルナー。

「グッドイヤーFIA ETRCを代表して、彼の家族であるジェニファー、ミュリエル、サラ、ジャン-ピエール、彼のふたりの子供であるティメオとレオ、そしてライオン・トラック・レーシングとヤニエック・レーシング・チームのメンバーに、この大変悲しい時期に心から哀悼の意を捧げたいと思っている。我々はアンソニーを決して忘れない!」

ともにETCRで戦ってきたLion Truck Racingは、数日間の悲嘆と黙祷のときを経て、シリーズへの参戦継続を決定している
チームマネージャー兼レースエンジニアを務めるジョナサン・アンドレ(中央)をレースドライバーに起用する

■チームは参戦継続とジョナサン・アンドレの起用を発表

 そのライオン・トラック・レーシングは、この8月下旬に入って改めて今後の活動方針をアナウンスし、ヤニエック亡き後も引き続きETRCへの参戦継続を決定した。

 それに際してチームは、この第5戦以降のレースドライバーにジョナサン・アンドレを起用すると発表。10年前にパトリック・フォレアスによって設立されたチームの最初の日に、チームマネージャー兼レースエンジニアとして参加し、トラックレースのパドックでも人望を集めているアンドレがヤニエックの遺志を継ぐこととなった。

 そのアンドレは、フランス国内のプジョー選手権やポルシェでのクラブ・ヨーロッパに参戦するなど4輪でのレース経験を持ち、トラックレースの実戦は未経験ながら、過去の冬季オフテストではチームのトラックをドライブした実績がある。

 先週はフランス南部ノガロ・サーキットでテスト走行を行い、チームもそのパフォーマンスに満足したという38歳のアンドレは、来週のモストで鮮やかなイエローをまとうチームのMANで、ETRCのグリッドに並ぶ予定となっている。

そのアンドレは、フランス国内のプジョー選手権やポルシェでのクラブ・ヨーロッパに参戦するなど4輪でのレース経験を持つ
フランス南部ノガロ・サーキットでテスト走行を行った38歳のジョナサン・アンドレが、第5戦のグリッドに並ぶ予定だ

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