入居第1号企業決まる 串本のサテライトオフィス

古座サテライトオフィスの入居第1号に決まり、業務開始に向けて打ち合わせをする「USPジャパン」の新津研一社長(左から2人目)と和歌山オフィスのスタッフ=25日、和歌山県串本町西向で

 和歌山県串本町が同町西向にある旧古座分庁舎に設けた「古座サテライトオフィス」の入居第1号が決まった。地域活性化などに取り組んでいるコンサルティング企業「USPジャパン」(本社・東京都)で、現地スタッフとして地元を含め4人を新たに雇用。同社は同町田原の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」をきっかけとした地域振興の取り組みに以前から関わっており、新津研一社長(52)は「串本の魅力を世界に通用するブランドに育てたい」と話している。

 古座サテライトオフィスは、同町サンゴ台の新庁舎建設に伴って空き施設となった旧古座分庁舎を有効利用し、発射場開設に合わせてロケット関連施設に改修しようという取り組みの一環で整備した。

 1階にはロケット関連の展示、3階にある旧議場はロケットの打ち上げなどを高精細な映像で視聴できるシアターに改修する計画を進めており、町長室や教育長室などだった2階のスペースを改修してオフィス4部屋とコワーキングスペース(共有スペース)を整備。町は7月から入居を希望する企業などの募集を始めていた。

 USPジャパンは大手百貨店で長年、営業戦略や新規事業開発などを担当した新津社長が、2012年5月に創業。事業戦略の立案や新規事業開発、商品開発などが主な業務で、買い物を軸とした訪日観光プロモーションに取り組む一般社団法人「ジャパンショッピングツーリズム協会」の事務局も担っている。

 串本町では、ロケットや宇宙について学ぶワークショップや関連イベントの開催など、ロケット発射場開発をきっかけとした地域振興の支援に2年ほど前から携わっており「地域活性化を実現するためには地域に根差して地域の人の力で業務を進めることが重要」(新津社長)として、古座サテライトオフィスへの入居を希望したという。

 同社では「和歌山オフィス」のスタッフとして、地元3人を含む女性4人を新たに採用。今年6月に神奈川県から同町にUターンして同社で働き始めた八代奈穂子さん(62)は「地域が盛り上がるような楽しいことを、自分たちの手で実現させていきたい」と意気込み、新津社長は「これまでの業務に加え、地元ならではの視点で地域の魅力を掘り起こしてほしい」と期待する。

 町企画課ロケット推進室によると、同社の入居は審査の結果、今月中旬に決定し、業務開始に向けて現在準備を進めているところ。同室の宮本宏保班長(47)は「地元雇用もしていただいて非常にありがたい。今後も一緒に町を盛り上げていければ」と話している。

 サテライトオフィスは残り3部屋で、引き続き入居する企業などを募集中。問い合わせはロケット推進室(0735.67.7004)へ。

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