地域の足を守る 宮城・石巻市が職員に公共交通機関での通勤を促す

宮城県石巻市は、市の職員の通勤をマイカーから鉄道やバスに切り替えていこうという試みを7月から始めました。背景にはある「危機感」があります。

26日朝の石巻市役所前です。目の前の石巻駅から歩いて職場に向かう多くの市の職員の姿が見られました。

石巻市では、7月から毎月第4金曜日を公共交通チャレンジデーとし、約1000人の市職員に鉄道やバスでの通勤を促しています。

石巻市職員の児玉枝里子さん。普段は、マイカーで20分ほどかけ通勤している児玉さんも、26日朝は鉄道を使っての出勤です。最寄りの駅までは、歩いて10分ほどです。

児玉枝里子さん「家を出発するのは大分早いです。20分くらい早いです」

JR石巻線に乗り、約10分で石巻駅に到着。市役所は駅のすぐ近くなので、職場までは歩いて5分ほど。マイカーより10分ほど多く掛ったものの、約30分で着きました。

児玉枝里子さん「実は2022年度当初から考えてて、どうしても車の方が便利なのでなかなかこう実行できずにいたところに、この公共交通チャレンジデーっていうのを月1回ですけど参加してみて良かったら変えようかなと今思ってます。時間通りに出勤できるので迷ってます」

石巻市が公共交通の利用を促す背景には、地域の足が無くなるかもしれないという危機感があります。

7月にJR東日本が公表した路線別収支で、石巻線は2020年度に12億6300万円の赤字でした。

石巻市では、官民問わず通勤にマイカーを使う人が多く、市が6月に職員を対象に行った調査でも65.4%がマイカーで通っていて、鉄道やバスの利用者はわずか11.2%でした。

石巻市復興企画部地域振興課平井敦司課長「電車にしてもバスにしても本数が減ってきておりますので、なかなか利用者の方も使いづらい状況がございました。利用者が増えれば増便も計画できますので、なるべく利用者を増やしながら事業者さんも増便を考えていただける機会になるのかなという考えもあります」

石巻市では、12月までこの試みを続け参加した職員などから聞き取りを行った上で、公共交通の利用を増やす方法を検討していくことにしています。

© 株式会社東日本放送