横浜市立中学の「全員給食」実施 実現性「デリバリー方式」最も高い 市教委が初の見解

横浜市教育委員会

 横浜市教育委員会は26日の市会常任委員会で、山中竹春市長が公約に掲げる市立中学校の「全員給食」の実施方式を巡り、2026年度開始に向けて実現可能性が最も高いのは、民間事業者が調理した弁当を配達する「デリバリー方式」との見解を初めて明らかにした。既存の製造施設に加え、新たな製造施設を1~2カ所新設することで全ての生徒・教職員分の供給体制が確保できるとしている。

◆聞き取りと検証

 市は昨年4月からデリバリー方式の弁当を「給食」と位置付け、家庭弁当との選択制で提供している。26年3月まで契約を結ぶ委託業者4社の供給能力は40%程度。契約期間が終了する26年度以降を見据え、民間事業者への聞き取りや実施方式の検証を続けてきた。

 この日、市教委が公表した、6月中旬に実施した民間事業者への聞き取り結果によると、18社が参加し、給食センターで複数校分を調理する「センター方式」に13社、デリバリー方式には10社が参入意欲を示した。契約期間の希望を尋ねたところ、センター方式は10~30年の長期契約を希望し、デリバリー方式は工場新設なら10~20年、既存施設の活用なら5年だった。

 校内に調理室を設ける「自校方式」と、近隣の小学校で調理して運ぶ「親子方式」については市が実施主体となるため、調査の対象にしなかったという。

 センター方式とデリバリー方式、自校・親子・センター方式などを組み合わせる「ミックス方式」について施設整備費などの長期推計(30年)も示した。デリバリー方式は約1959億円と試算。センター方式は約2247億円、ミックス方式は約2352億円と見積もったが、実現の可能性は考慮せず推計したという。

 市は近く公表する22年度から4年間の「新たな中期計画」で実施方式などを明らかにするとしているが、現在のデリバリー方式による給食を「選択制」から「全員給食」へ転換したい意向だ。

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