【角田裕毅F1第14戦密着】夏休み中もトレーニングに取り組み続け、後半戦へ。初日はスパウェザーのなか僚友を上回る

 夏休み前、最後の一戦となったF1第13戦ハンガリーGPのレースで原因不明のグリップ不足に悩まされた角田裕毅(アルファタウリ)。F1ドライバーとしての2度目の夏休みは、昨年と少し違った時間を過ごした。

 昨年はハンガリーGP後、2日間イギリス・ミルトンキーンズにあるレッドブルでのシミュレーターに乗ってから、イタリア北部にあるコモ湖へ行って、心身ともにリセットした。

 今年は、ハンガリーGP後にオーストリアのレッドブル・トレーニングセンターへ行って、スポーツ心理学者と後半戦に向けての話し合いを行った後、フィジオと共に1週間ほどトレーニングに明け暮れてから、夏休みに入った。

 いつもより短い夏休みの後はイタリアへ帰って、チームのファクトリーがあるファエンツァで再びトレーニングに励んだ。

「休みの70%くらいはトレーニングに費やしたんじゃないかと思いますが、僕としては休みの間に完全にリセットしないで後半戦に臨む方がいい」(角田)

 こうして迎えた夏休み明け初戦となったベルギーGP。フリー走行1回目でアルファタウリのAT03を共に走らせたのは、チームメートのピエール・ガスリーではなく、リザーブドライバーのリアム・ローソンだった。

ピエール・ガスリー(左)とリザーブドライバーのリアム・ローソン(右)

 2022年F1は、シーズン中に2回の金曜日のフリー走行1回目に、F1昇格を目指す若手ドライバーを走らせる義務が課された。アルファタウリがその義務を果たすために採用したのが、レッドブル・ジュニアのローソンだった。ローソンは現在FIA F2に参戦していて、選手権8位につけているF1昇格を目指す若手ドライバー。そのローソン相手に角田がどんな走りを披露するのか注目されたが、角田は自分の仕事に集中していた。

 フリー走行1回目、角田は8番手となるタイムを記録。19番手に終わったローソンとのタイム差は、約3.7秒。さらに雨が降り出したセッション終盤も角田がインターミディエイトタイヤで走り続けていたころ、ローソンはガレージにとどまっていたことを考えれば、いかに角田がチームから信頼されているかがわかる。

FP1終盤に雨が降り始めるも、角田はインターミディエイトタイヤで走行を続けた

 フリー走行2回目でもガスリーをコンマ1秒上回って13番手につけた角田。

「今日は典型的なスパ・ウェザーで、ラップによってはセクター1はドライだったのに、セクター3がウエットだったりして、結構大変でしたが、楽しめました。土曜日は晴れるようなので、明日はスパでの完全ドライを楽しみしたい」(角田)

 いまの角田には、夏休み前よりもコース上でF1マシンを走らせることしか頭にないようだ。

2022年F1第14戦ベルギーGP 角田裕毅(アルファタウリ)

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