レッドブル&HRC密着:テスト用PUに不具合を発見、同じ部品を使う3基目の使用を中止。レースでのトラブル回避を優先か

 夏休み明け初戦となったベルギーGPで、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が4基目のICE、ターボ、MGU-H、MGU-Kを投入した。これにより、フェルスタッペンはベルギーGPの決勝レースを最後尾からスタートすることが決定した。

 フェルスタッペンは夏休み前の第13戦ハンガリーGPでこの主要4コンポーネントを3基目にしたばかりだった。いったい、何が起きたのか。

 チーム関係者によれば、ハンガリーGPに投入した3基目のパワーユニット自体には問題は発生していないが、フェルスタッペンの3基目のパワーユニットと同じ部品を使用しているテスト用のパワーユニットをHRCのベンチで稼働させていたところ、不具合が確認されたため、念のためにフェルスタッペンの3基目の使用を取りやめ、HRCに戻して調査しているという。

 チームメイトのセルジオ・ペレスもハンガリーGPで3基目を投入しているが、フェルスタッペンと異なるロットの部品を使用しているため、ベルギーGPでは交換する必要はなかったという。

2022年F1第14戦ベルギーGP セルジオ・ペレス&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 ハンガリーGPの予選Q3で問題が発生したフェルスタッペンの2基目のパワーユニットに関しては、その後の調査の結果、ICEそのものには問題がないことが確認され、今後も使用可能だという。したがって、今回入れた4基目のパワーユニットを含め、使用可能なパワーユニットは3基残っているため、今後それらに問題が発生しなければ、これらの3基で最終戦まで戦うことは理論上は可能だ。

 また今回、レッドブルがフェルスタッペンのパワーユニットを4基目にした理由には、パワーユニット以外の背景も考慮したのではないかと考えられる。それはスパ・フランコルシャン・サーキットのコース特性とライバルチームのパワーユニット使用状況だ。

 スパ・フランコルシャン・サーキットは、シーズン中、最もオーバーテイクしやすいコースのひとつだということ。もし3基目のパワーユニットに少しでも不安があるなら、4基目を入れるのはここだった。

 もうひとつは、同じような理由からライバルチームもこのベルギーGPでペナルティ覚悟で新しいパワーユニットを投入してくることが考えられることだ。実際、チャンピオンシップを争うシャルル・ルクレール(フェラーリ)も、5基目のMGU-Kと3基目のES、そして4基目のCEと5基目のギヤボックスを投入してきており、こちらもすでに最後尾スタートが決定している。

 すでにチャンピオンシップで大きなリードを築いているフェルスタッペン陣営にとって、いま最も気をつけなければならないのは、レース中にトラブルで0点に終わること。今回のパワーユニット交換は、トラブルというよりも、リスクを冒して最悪の結果を招くよりも、次善の策として念のために交換したといってよいだろう。

新しくなった9コーナーを走るフェルスタッペン

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