レッドブル&HRC密着:唯一の1分43秒台をマークしたフェルスタッペン。ドライ路面で際立つ速さにフェラーリも警戒

 マックス・フェルスタッペンがF1ベルギーGPの予選で最速タイムをマークした。レッドブル・パワートレインズへパワーユニットを供給しているホンダにとって、スパ・フランコルシャン・サーキットは、復帰後しばらくの間、鬼門とされてきた。長いストレートと急勾配のオー・ルージュがあるスパは、パワーユニットの性能がラップタイムに大きく影響し、当時のホンダはライバルに劣っていたからだった。

 ターニングポイントは2021年。新骨格のICEを投入したホンダは、F1ラストイヤーのベルギーGPで見事フェルスタッペンがポールポジションを獲得した。ただし、それはウエットタイヤを履いた濡れた路面で得たポールポジションだった。

 今年のベルギーGPは曇り空だったが、1時間を通してドライタイヤを履いて行われた予選。その状況のなかで、フェルスタッペンは1分43秒665と、予選2番手のカルロス・サインツ(フェラーリ)に対して、コンマ6秒以上の大差をつけて予選でトップタイムをマークした。

 もちろん、フェルスタッペンのICE(内燃機関)は新品で、サインツは今回ICEを交換していないので、単純にタイム差がパワーユニットの性能の差を表すものではないが、少なくともホンダが開発した今年のパワーユニットがコース上で最も速いパワーユニットのひとつになったと言っていいだろう。

2022年F1第14戦ベルギーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 ただし、ベルギーGPが開幕した金曜日の時点で、フェルスタッペンはパワーユニットの主要4コンポーネントを4基目にしていたことから、最後尾スタートが決定していた。通常であれば、Q1かQ2で予選を切り上げていてもおかしくなかった。それでもQ3までアタックを続けたのは、チャンピオンシップ争いを演じているシャルル・ルクレール(フェラーリ)もまた複数のパワーユニット・コンポーネントを新しくし、最後尾スタートとなっていたからだった。そうなると、日曜日のグリッドを決定するのは、予選順位となる。

 しかし、フェルスタッペンの心配は杞憂に終わる。Q3の1回目のアタックでただひとり1分43秒台をマークして、フェラーリ勢に大差をつけてトップタイムをマークしたフェルスタッペンは、2回目のアタックをとりやめた。それでも、チームメイトのセルジオ・ペレスをはじめ、だれも寄せ付けることなく、堂々と予選トップの座を守ったフェルスタッペンには、15番手からスタートするにも関わらず、自信がみなぎっていた。

 レースに向けての目標を尋ねられたフェルスタッペンは、こう語った。

「今日のペースを考えると、少なくとも表彰台には立ちたい」

2022年F1第14戦ベルギーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 フェルスタッペンに代わって、ポールポジションからスタートするサインツもこう語る。

「彼が今日見せつけたペースがあれば、すぐに優勝争いに戻ってくるだろう。ましてや、セーフティカーが入れば、あっという間に僕たちに追いつくよ」

 果たして、フェルスタッペンはどこまで追い上げることができるのか。それはこの日、サーキットを訪れたHRCパワーユニット開発責任者の浅木泰昭も注目しているはずだ。

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