上越市総合防災訓練 津波や土砂崩れ災害から命守れ 桑取・谷浜地区住民ら1600人参加

 震度6強の地震による津波、土砂崩れを想定した「上越市総合防災訓練」が28日、同市立谷浜小などで行われた。桑取・谷浜地区の住民1400人と国、県、市の職員、民間団体の担当者ら200人の計1600人が参加した。

ドローンでの調査により土砂崩れの危険があるとして避難してきた住民ら(谷浜小)

 谷浜地区は海岸線に沿って住宅が連なっており、津波の被害を受けやすい。また鉄道が通るため津波の際は車両の乗客が巻き込まれる恐れがある。桑取地区は谷沿いに集落が点在し、土砂災害の危険がある。訓練では防波堤の損傷で取り残された釣り人の救助、緊急停止した列車の乗客の避難誘導などの他、倒壊、またはその恐れのある建物に取り残された住民の救助、無人航空機(ドローン)による海岸線や土砂崩れ地点周辺の情報収集などが行われた。

危険な建物から住民を避難させる訓練。上越消防の救助隊が建物屋上と地上に張ったロープを使い、住民を下ろす(潮陵中屋上)

 谷浜小体育館に設けられた避難所には、市の避難指示で中桑取から避難してきた約30人が入った。住民らは検温などの後、段ボール製のベッドが置かれたテントの中に入り「想像より広い」「一人ではもったいない」などと話し合った。
 訓練終了後、長浜町内会の坪田剛会長は「大規模な訓練は何度もできないが、経験を積むことが大切。一人でも多くの命を守るよう、地区にある22町内会で活動していきたい」と述べた。中川幹太市長は「災害発生時に最も必要なのは、一人一人の当事者意識。まずは地元で動くことをお願いしたい」と呼び掛けた。
 子どもと訓練を見学に来た妙高市の女性は「非常用持ち出し袋の中身を半年に1度点検しているが、災害への備えはそれくらい。子どもたちの身を守る物なども考えたい」と話していた。

避難を終えテント内で人心地。「思ったより広いねえ」と話し合う人たち(谷浜小体育館)

© 株式会社上越タイムス社