高齢になるとなぜ目やにが出てくるのでしょうか?固まってしまって取れない、目をこすると嫌がってうまく取れないのですがどうしたら良いですか?(ミニチュアダックスフンド、レオさんの相談)【お答えします】福井県獣医師会 開業部会 田辺獣医科病院(福井県敦賀市)生川亮一郎獣医師
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ご質問ありがとうございます。高齢犬の眼の問題に関してですが、日常の診察でも相談を受けることが多く、飼い主の皆様の大きな悩みとなっているようです。眼脂の原因としてはいろいろな理由が考えられるため、ここでは普段の診療の現場で出合うことの多い眼の問題を説明します。
乾性角結膜炎(かんせいかくけつまくえん)
涙腺の機能不全により涙液産生量が落ちてしまうことで発症する状態です。眼の表面が強く乾燥するため、多量の眼脂が付着します。これは動物病院で涙液の産生量を検査してもらうことで診断が可能です。
細菌性角結膜炎(さいきんせいかくけつまくえん)
高齢による免疫機能の低下など色々な原因で、角膜表面や結膜にて細菌の増殖が起こることが原因となります。これは眼脂の色などでも判断が可能な場合があります。黄色から緑色の粘性の高い眼脂が付着しているようであれば要注意です。
他には眼瞼(まぶた)にできものができていることや、眼圧が上昇してしまっていることもあります。眼の強い充血や眼を開けにくそうにするなどの症状が出ている場合には病院での診察をおすすめします。
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目やにの取り方、重要なのは「ふやかして除去」
次に、眼脂の掃除についてです。重要な点は必ず眼脂をふやかして除去することです。実際の診療においても多量の洗浄液を用いて除去しています。乾燥した眼脂はその下の皮膚に強く付着しているため、無理に取ろうとすると動物に強い痛みを与えてしまい、さらには皮膚炎を引き起こす原因となります。
コットンや脱脂綿に洗浄液を多めに染み込ませて、除去したい眼脂の上に数十秒から数分乗せておくことで除去可能な固さになるまでふやけてきます。洗浄液についてはかかりつけの動物病院に相談してください。痛みを与えないように工夫すれば処置は上手に行えるようになってくると思います。
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