「継承の中心になって」 国重要無形民俗文化財・平戸神楽 小学生3人、基本の所作学ぶ

平戸神楽「荒塩」の基本を学ぶ森川陽奈子さん(左から2人目)と忠幸君(右)=平戸市、亀岡神社

 神職だけが奉納を許されている国指定重要無形民俗文化財「平戸神楽」の次世代の担い手を育成する講習会が19、20日、長崎県平戸市岩の上町の亀岡神社(下條紀元宮司)であった。神職の子ども3人が基本の所作などを学んだ。
 講習会は、平戸神楽振興会が1958年から年1回実施。現役の神職15人も、神楽の所作の確認のために参加した。
 小学1年の時から毎年参加する同市立紐差小6年の三輪笙太君(11)は、盆2枚を両手に乗せたまま後転をする曲芸のような動きがあり、神様を和ませるとされる「折敷(おしき)」に挑戦。「ある程度できるようになった」という三輪君は「秋の例大祭で神様に立派なものを見せたい」と決意を語った。指導した姫神社(松浦市星鹿町)の森川典幸宮司(61)は「難しい演目に対し、よく努力していた」と評価した。
 松浦市立星鹿小1年の双子のきょうだい、森川忠幸君(6)、陽奈子さん(6)は初参加。2人は四方をはらい、氏子の長寿を祈る「荒塩(あらしお)」を学んだ。扇と鈴の持ち方や、神楽座を回り四隅をはらう所作などをベテラン宮司2人が指導。忠幸君は「右手で持つ鈴が重たかった」。陽菜子さんは「神楽座を回る動作が難しかった」と話した。

平戸神楽「折敷」の指導を受ける三輪君(左)

 同振興会の木田昌宏(よしひろ)会長(81)は「森川きょうだいは初めてなのに弱音を吐かず立派。三輪君は難しい演目で頑張ってくれた。平戸神楽継承の中心になってほしい」と3人をねぎらった。
 平戸神楽は17世紀、平戸藩士が国の奉納を見て回り、地元に伝わっていた神楽に各地の要素を取り入れて、現在の24番(演目)に完成させたとされる。畳2畳分の神楽座で五穀豊穣(ほうじょう)などを祈願。奉納する演目数で小、中、大、大々(だいだい)の4種がある。全24番を奉納する大々神楽は同神社の秋の例大祭(10月26日)だけ。

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