シューマッハーと接触のレネ・ラスト、昨今のDTMドライバーのマナーに激怒「まるで子どものような運転」

 2022年DTM第5戦ニュルブルクリンクのレース2序盤、接触によりリタイアを喫したレネ・ラスト(チーム・アプト/アウディR8 LMS)は、DTMのライバルたちのドライビング・スタンダード(水準)を痛烈に批判した。

 ラストはレース2の4周目、最終コーナーへの進入で、背後からインに飛び込もうとしたダービッド・シューマッハー(メルセデスAMG・チーム・ウィンワード/メルセデスAMG GT3)と接触。ラストはグラベルへとスピンアウトしてレースを終えた。

 このレース2では他にも、ニック・キャシディ、マーロ・エンゲル、フィリップ・エング、クレメンス・シュミット、ミルコ・ボルトロッティらも接触の影響でチェッカーフラッグを受けることができなかった。

 ランキング3位につけニュルブルクリンクラウンドに入っていたラストは、前日も激しい順位争いのなかで接触、終盤にポジションを落としていた。この結果、週末を通してわずか2ポイントしか獲得することができず、タイトル争いからは大きく後退することとなった。

アプトからDTMに参戦しているレネ・ラスト。2022年限りでアウディから離れ、2023年はBMW陣営入りすることを発表済みだ。

 ラストはリタイア後、シリーズのドライビング・スタンダードに対して公然と疑問を投げかけている。

「シューマッハーにぶつけられたんだ」とラストはDTMの公式放送のインタビューに答えた。

「最初に彼はシケインで僕に当ててきた。それで僕の立ち上がりが鈍くなったあと、さらに彼は僕をパスしようとしてリヤにもう一度ヒットしてきた。それで僕はスピンし、グラベルに埋まったんだ」

「受け入れられない。今年のDTMのドライビング・スタンダードは、容認できるものではないよ」

「彼らはまるで子どものような運転をする。彼らには経験もないし、本当にドライビングが楽しくなくなるよ。彼らはマナーを守らない。彼らのうちの何人かは、サポートシリーズへと戻り、経験を積んでからDTMに復帰すべきだと思うね」

「そんな感じだよ。もう、レースをするのが楽しくないね」

 ラストはフェアなレースをすることがより難しくなってきていると語り、一部の違反ドライバーに対してより厳しい処罰が与えられることに期待すると表明している。

 このインシデントに対し、シューマッハーにペナルティが与えられるべきだと思うか、という問いには、「そう願うよ」とコメントしている(※その後、暫定結果ではシューマッハーに対して5秒加算のペナルティが科せられた)。

「彼だけではなく、他のドライバーのためにもね。これではもうレースはできない。ただのギャンブルだ」

「あるドライバーはスペースを残してくれるが、ある者はそうではない。コーナーでサイド・バイ・サイドになることは、もうできないんだ。芝生に追いやられたり、リヤにぶつけられたり、スピンさせられたりするんだよ」

「これではただのギャンブルであり、これに対して何かを改善しなければならないのは明らかだ」

2022年にDTMデビューを飾ったダービッド・シューマッハー。父は元F1ドライバーのラルフ・シューマッハーだ

■他のドライバーも「みんな調子に乗り過ぎ」と指摘

 ラストと同様にリタイアを喫したリカルド・フェラーとデフ・ゴアも、ラストの意見に同調している。

 フェラーも公式放送に対して「(DTMの)ドライビング・スタイルはとても低い(レベルだ)と思う」とコメントしている。

「戦いにおけるプロフェッショナリズムを、かなり失っていると思うね。現在は、クルマをぶつけ合うような感じになっていて、本来あるべきフェアなサイド・バイ・サイドのレースにはなっていない」

 ゴアもまた、次のように付け加えている。

「DTMはハードなレースができるし、接触もあるから好きなんだけど、みんな少し調子に乗り過ぎているよね」

「誰もがいいポジションを手にしようとしているわけであって、悪意があるとか、わざとやっているということではないと思う」

「ただ、チャンスをつかむためには、どこかの時点で現実的にならなければいけないものだ。でも、中にはそうでないドライバーもいるんだ」

2022年DTM第5戦ニュルブルクリンク レース1スタートシーン

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