「もはやNPTだけで『核なき世界』達成できない」NPT再検討会議決裂で被爆者らが抗議の声

NPT(核拡散防止条約)再検討会議は、最終文書に合意できずに決裂しました。「もはやNPTで核なき世界は達成できない」と抗議の声が上がります。

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NPT再検討会議は、アメリカ・ニューヨークで26日まで開かれていました。全会一致が必要な「最終文書案」では、ロシアが占領を続けるウクライナのザポリージャ原発の記述をめぐり、ロシアが反対し、採択できませんでした。

前回2015年に続いて2回連続の決裂は、NPTの発効以来、初めてのことです。

NPTの決裂を受け、県内の被爆者7団体は声明を出し、「核保有国に核軍縮の意志がない傲慢さがあらわになっている」と批判しました。

広島県被団協 箕牧智之理事長
「世界で、人類にとって一番怖いのは核兵器です。非常にがっかり、悔しさ、はがゆさ、情けなさ、憤りがある」

もう一つの広島県被団協 佐久間邦彦理事長
「まだまだ被爆者が、もっと話をしていかないといけないと痛感した」

■「NPTができて52年の間に何を決めてきたのか」

また、核兵器廃絶に取り組むNGO連絡会もオンラインで会見を開き、「NPTは世界が核戦争の淵に立たされているときに何ら具体的な成果を上げられなかった」と批判しました。

日本被団協 田中熙巳代表委員
「核保有国は核兵器を使っちゃいけない、なくさなきゃいけないという思いをちゃんと持っていたかというと、やっぱり薄かったんじゃないか」

1歳のとき長崎で被爆した和田征子さん
「(NPTができて)52年の間に何を決めてきたのかという思いがします。地球上の核兵器を全て廃絶するまで、被爆者は生きて、叫び続けます」

ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の国際運営委員、川崎哲さんは、今回の決裂を受け「もはやNPTだけで核なき世界を達成できないことが明らかになった」と指摘しました。

そのうえで「核兵器の使用や威嚇などを全面的に禁止する核兵器禁止条約への支持を、国際的に拡大していく必要がある」と訴えました。

ICAN 川崎哲国際運営委員
「日本政府は、これまでの被爆者の訴えに耳を傾けて、それを受け止めて、政策転換して核兵器の依存から自ら脱却するということを求めたい」

核兵器禁止条約の2回目の締約国会議は来年11月に開かれ、次回のNPT再検討会議は2026年に開催されます。

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