プロジェクトマネジメントスキルがあれば高給が狙えるって本当?

最近、聞くのがプロジェクトマネジメント職の需要の高まり。IT業界の人手不足が問題視されるなか、プロジェクトマネジメントスキルを保持することは、武器となるといわれます。
現に、プロジェクトマネジメント資格を保有している人の平均給与は非資格保有者と比べて平均が高いことが分かっています。
いま、狙い目スキルといえるプロジェクトマネジメント。その現状や需要のある業界を有識者にうかがいました。

■プロジェクトマネジメント資格保持者は給与が高い傾向

Project Management Institute(プロジェクトマネジメント協会、以下、PMI)が2021年12月に発表した「プロジェクトマネジメント給与調査」によると、全世界の「プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)(R)」資格保有者の給与中央値は、非資格保有者に比べて平均16%高い結果となりました。

プロジェクトマネジメント分野において、継続的な教育とスキルアップが、潜在的な収入増加につながることがわかります。

これから何か新しいスキルを身につけたい、リスキリングを考えているという人は、プロジェクトマネジメントスキルを身につけるのも一つのポイントといえそうです。

そこで、現状とニーズを有識者から教えてもらいました。

■プロジェクトマネジメント資格の有効性とは?

PMI Japanの杉山俊彦さんに、プロジェクトマネジメントスキルの必要性や資格の有効性についてうかがいました。

――プロジェクトマネジメントスキルが求められる理由を教えてください。

「世界が、価値を提供するためのプロジェクトやプログラムを中心に据えるようになるにしたがい、組織や実務家が大胆なアイデアを実現するために、効果的なプロジェクトマネジメントスキルはこれまで以上に重要なものとなっていくと考えられます。

PMIでは2030年までに新たに2,500万人のプロジェクトの専門家が必要とも予想しており、実態は不足しています。プロジェクトマネジメントのスキルを持った人材にとってはまたとない好機と言えます。

日本国内においては、各社でITやソフトウェアに関連したDXプロジェクトが増えていることや、新型コロナウイルスの拡大によって在宅勤務が進み、これまでとは異なるマネジメントが求められていることも、プロジェクトマネジメントが求められるようになった要因の一つと言えるでしょう」(杉山さん)

――プロジェクトマネジメントスキルは、どのように身につけることができますか?

「一つには、PMIが出版している、プロジェクトマネジメントについての知識が体系化されたPMBOK(R)という書籍が役に立つと考えています。プロジェクトマネジメントに関する基礎的な知識を網羅しているのはもちろん、実例の紹介や、自身のプロジェクトに合わせたカスタマイズ方法なども紹介しています。PMIが提供するPMPに代表される資格は、実務経験が必要なものも多いので、まずはこうした書籍を手に取ってみることも一つの方法です。

PMI認定資格は、プロジェクト担当者が、プロジェクトを推進するために必要な戦略、ツール、およびコミュニケーションスキルを習得していることを証明するのに役立ちます。PMI認定資格は、プロジェクトの専門家に、効果的なプロジェクトの運営や、あらゆる業界のあらゆるチームでの仕事に必要なスキルを身に付けさせるものです」(杉山さん)

――プロジェクトマネジメントスキルは誰でも身につけられますか?

「プロジェクトマネジメントのスキルはプロジェクトに参画するすべてのメンバーにとって重要ですが、プロジェクトマネージャーを務める上では、コミュニケーションスキルや、コラボレーションスキルといった多岐に渡るスキルを内包するため、マネジメント人材であるかどうか、スペシャリスト人材であるかどうか、個々人の志向や適性を見極めることも大切です。PMIでは、プロジェクトマネージャーを目指す人や、プロジェクトマネジメントのスキルを身につけたいと考えるすべての人のために適切なスキルセットを提供しています」(杉山さん)

■プロジェクトマネジメントの人材ニーズは?

実際、人材市場では、プロジェクトマネジメントスキルはどの分野で活用できるのでしょうか。人的資本に関するコンサルテーション事業を行う株式会社コトラの代表で、企業の人材ニーズに詳しい大西利佳子さんにうかがいました。

――プロジェクトマネジメントスキルのニーズは市場で高まっていますか?

「プロジェクトマネジメントスキルは、あらゆるビジネスにおいても求められており、スキルを有するビジネスパーソンのニーズが高いと感じています。生産性向上が日本企業において大きな課題だからです。生産性を高めるための論点は様々ですが、プロジェクトマネジメントスキルを持ったリーダーが、適切なスコープ設定、スケジュール・コスト・リスク等の管理をし、PDCAを早く回していくことは、一つの解ではないかと思います。

日本の年収が他国に比べて上がらないことが大きな問題になっています。組織の生産性が高まれば、社員の年収も上がります。プロジェクトマネジメントスキルが一つのキーとなり、組織の生産性が上がり、社員の年収アップし、自身のスキルアップの投資にお金が回るといった好循環が生み出せると良いのではないでしょうか」(大西さん)

――プロジェクトマネジメントスキルにニーズのある業界をお教えください。

「プロジェクトマネジメントスキルのニーズが伸びている業界としては、コンサル、ITベンダーなど、プロジェクトを受注しプロジェクトの推進役となる業界が上げられます。
この業界では、PMO(Project Management Office)と呼ばれるプロジェクトマネジメントを専門に担うビジネスに特化した企業が成長するなど、プロジェクトマネジメントスキルのニーズが顕在化しています」(大西さん)

「近年、大企業のキャリア採用が大きく増加してきています。例えば、当社が強いリレーションを持つメガバンクにおいても、この数年でキャリア採用に対する動きが非常に積極化しています。多くのステークホルダーの中で大きな規模のプロジェクトを遂行するような業務が多く、プロジェクトマネジメントスキルに優れた人材に対しては、新卒入社の同年代と比較しても高いオファーを出すケースも増えています」(大西さん)

――プロジェクトマネジメントスキルと組み合わせて高給を目指すなら、どんなジャンルのスキルや職種がおすすめですか?

「デジタルツールを活用するスキルやデータ分析のスキルが組み合わさり、PDCAを高速で回すことで、組織の生産性を上げられるような人材は、企業としては高給を払いたいと考えているようです。職種は、『事業開発などでトップラインを上げる役割』や『システム企画などでコストを下げる役割』に可能性があると考えます」(大西さん)

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これから市場価値を高めたいと考える人は、プロジェクトマネジメントスキルを身につけることは一つの有効な手段といえそうです。

【取材協力】

杉山 俊彦さん
Lead, PMI Japan
35年以上に渡りコンサルティングとリーダーシップでの経験を持ち、著名なソフトウェアおよびテクノロジー企業において、マネジメントのスキルを活用し数多くのプロジェクトに従事。PMI Japan, Leadとして、日本でのビジネスとコミュニティの成長を推進。
Project Management Institute(https://www.pmi.org/)

大西利佳子さん
株式会社コトラ 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)にてマーケット業務、事業法人を対象にした融資、金融商品アレンジ、営業企画に従事。2002年株式会社コトラ設立。大手企業を中心に、人的資本に関するコンサルテーションを行っている。コトラ(https://www.kotora.co.jp/)

【調査出典】PMI「プロジェクトマネジメント給与調査」(https://www.pmi.org/learning/careers/project-management-salary-survey)

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