市民参画の古墳発掘 助言します 真庭、考古学者らのグループ発足

荒木山西塚古墳の墳頂部を視察するワーキンググループメンバーら

 真庭市と住民、同志社大が今秋から同市北房地域で始める荒木山西塚古墳(市史跡)の発掘を前に、岡山県内外の考古学者らで構成するワーキンググループが29日、発足した。全国でも珍しい「市民参画」による調査の計画や手法について指導助言し、学術的水準を確保する。

 発掘は市が事業主体となり、住民でつくる北房文化遺産保存会の会員約40人や公募のボランティアらが実動部隊となる。墳丘や周囲に試掘溝を4本設け、前方後円墳である西塚の規模や構造を確定させる。後円部墳頂にある過去の乱掘跡の地中レーダー探査も行う。

 市北房振興局であった初会合には、国立歴史民俗博物館の松木武彦教授や岡山理科大の亀田修一名誉教授、行田裕美・元津山市教委生涯学習部長ら5人がオンラインを含めて出席。座長の松木教授が代表して三ツ宗宏教育長から委嘱状を受け取った。

 市側は、本年度の調査期間を11月~来年3月の週末を中心とした26日間とし、1日20人程度で作業に当たることや、ボランティアの公募対象を県内在住の小学4年生以上とする方針を説明。メンバーは実施体制についておおむね了承し、西塚の現地視察も行った。

 松木教授は「専門家以外でも歴史遺産を継承できるという新しい価値観を生む全国モデルになり得る。『市民参画』の理念にふさわしい発掘事業になるよう緊張感を持って取り組みたい」と話した。

 北房地域は古墳時代の首長墳が多く築かれ、荒木山西塚古墳は同東塚古墳とともに最古級(3世紀半ば~4世紀)となる。

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