神代踊り 秘境に伝わる雨乞い祈願の舞い パート3 伝統芸能を受け継ぐ西祖谷の人々 

徳島県三好市西祖谷山村善徳、祖谷のかずら橋があるこの集落では、国指定重要無形民俗文化財の神代踊りが伝承されている。7月23日(旧暦6月25日)、3年ぶりに、この伝統ある踊りが地元保存会や児童によって奉納された。

【前回までの記事はこちら】
神代踊り 秘境に伝わる雨乞い祈願の舞い パート1 「神代の昔から」いにしえの民俗芸能
神代踊り 秘境に伝わる雨乞い祈願の舞い パート2 山の静寂に包まれて 鮮やかな舞の奉納

三好市・秘境祖谷の国指定重要無形民俗文化財を伝承する

この日、ほら貝を吹き鳴らしていたのは、善徳神代踊り保存会会長、小野寺さん。朝一番から様々な準備をされていた。3年ぶりの奉納にとても嬉しそうだ。

神代踊りは、踊りの練習も、花笠つくりなどの準備も大変だそうだが、大勢の人々に見守られて、無事奉納された。

[(https://miyoshi-city.jp/wp-content/uploads/2022/08/Jin-3-1.jpg)

この、平安初期発祥とも言われる民俗芸能は、貴重な、古くからの踊りの形態を伝えているとされ、昭和51年に国の重要無形民俗文化財に指定された。この伝統を受け継ぎ、文化財を守るべく、善徳神代踊り保存会は活動を続けている。

伝統を受け継ぐ秘境の子供達 小学校の授業の一環として伝統芸能を学ぶ

力強い「棒振り」の男性の踊り手、笠をかぶり、扇を優雅に舞わせる女性の踊り手の中には、児童らもいる。

[(https://miyoshi-city.jp/wp-content/uploads/2022/08/Jin-3-3.jpg)

ベテランの踊り手とともに、色鮮やかな衣装を着け、大事な役目を担うのは、檪生(いちう)小学校の生徒達。授業の一環として、この伝統芸能を学ぶ。合計で6時間もの練習を重ね、踊りを習得したそうだ。

[(https://miyoshi-city.jp/wp-content/uploads/2022/08/Jin-2-5.jpg)

子供の頃の思い出とともに奉納する祖谷の舞い 未来へつなぐ神代踊り

梅の紋の着物を身に着けた、女性の踊り手に、3年ぶりの踊りの奉納についてうかがった。

「もう、私は小学校1年生から踊っていて、踊りがない年があっても、体が踊りを覚えている。練習しなくても大丈夫なくらい。昔は子供が大勢いて、踊れるのは選抜された子供だけだった。男の子もいっぱいいて、棒振りの踊りもそれは激しくて。そして、昔は男の子は顔を白く塗って、ひげを描いて化粧もしていてね。」と、昔の様子のことも懐かしんで話してくれた。

こうして、伝統と思い出は受け継がれていくのだろう。

神代踊り

旧暦 旧暦6月25日

西祖谷山村善徳天満宮神社

(取材・文・写真: ショーン ラムジー)

【関連記事】
>>「平家屋敷民俗資料館」平家を支えた御典医の系譜を追って パート1
>>仙吉 祖谷の味 パート1 忍者もやってくる、秘境の蕎麦屋

© まるごと三好観光ポータルメディア