“暑いまち”が熱く応援 埼玉パナ、熊谷移転から1年 地域に浸透、来月優勝パレードも すでに連覇へ始動

来季へ向けた初の全体練習を行う埼玉パナソニックワイルドナイツの選手たち=29日午後、埼玉県熊谷市上川上のさくらオーバルフォート

 ラグビーリーグワンの埼玉パナソニックワイルドナイツは29日、埼玉県熊谷市上川上のさくらオーバルフォートで、来季に向けて初の全体練習を行った。ワイルドナイツが群馬県太田市から熊谷市に本拠地を移転し、チームが本格的に始動してから30日で1年。連覇を目指して始動したチームは市内で徐々に浸透し、行政などと地域連携も強化しており、9月11日にはリーグワン初代王者を祝う優勝パレードが市内で予定されている。

 埼玉パナソニックワイルドナイツの本拠地は熊谷スポーツ文化公園内に整備されたさくらオーバルフォート。総面積は約3ヘクタールで、クラブハウスやカフェが入る管理棟、熊谷スポーツホテルパークウィングがあるほか、ラグビーピッチ1面のグラウンドは熊谷ラグビー場Aグラウンドと同じ天然芝になっている。

 全体練習の初日は主力選手の一部は不在だったが、選手たちは真剣な表情でパスやテイクダウン、ラインアウトなどの練習に精力的に取り組んだ。練習は誰でも自由に見学でき、昨季は見学者も徐々に増えていった。初日も大勢のファンが駆け付け、市内から訪れた女性(37)は「チームが熊谷に来てファンになった。次もチャンピオンになってほしい」と期待を込めた。

 ラグビータウン熊谷を盛り上げようと、同市筑波でベーグル店を営む臼杵健さん(46)はJR熊谷駅から熊谷ラグビー場までの「ラグビーロード」の清掃活動を有志と実施している。臼杵さんは「ワイルドナイツが移転してきて1年が経過し、チームが徐々に浸透してきた。試合がない時にもファンが店に寄ってくれることもある」と語った。

 日本一暑いまちで知られる市はワイルドナイツや大塚製薬大宮支店との協働事業で、ラグビーを絡めた健康事業を実施。熱中症対策アドバイザーの資格を取得した内田啓介選手(30)が中学生に熱中症対策授業を行った。暑さ対策事業でも、床田裕亮選手(27)や竹山晃暉選手(25)が体を暑さに慣れさせる暑熱順化に取り組む「熊谷ラグササイズ動画」に出演した。

 だが、課題もある。選手が練習をしている姿は誰でも自由に見学できるが、新型コロナウイルスの影響でファンサービスは制限された。5月のプレーオフの決勝では、試合をテレビで放送している店があっても見る人がいなかった店も。臼杵さんは「ワイルドナイツを多くの人に知ってもらわないといけない」と語る。

 9月11日には優勝パレードも市内で予定されている。ルートは市役所をスタートし、市役所通りを国道17号手前まで進み、コミュニティひろばをゴールとする約350メートル。パレード後、同ひろばで優勝報告セレモニーも実施予定だ。主催は熊谷商工会議所や自治会などで組織する実行委員会で、会長を務める小林哲也市長は「優勝を実感できるパレードにしたい」としている。

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