被爆者認定 体験者の高齢化「待てる状況ない」 長崎市と県に早期解決要望

被爆体験者の根本的な早期救済を求める要望書を前田部長(右)に提出する体験者ら=長崎市役所

 国の指定地域外で長崎原爆に遭い被爆者と認められていない「被爆体験者」と支援者が29日、長崎市と県に対し、被爆者認定による早期解決を図るよう要望した。医療費助成の対象疾病にがんの一部を加える政府方針は「お茶を濁す姿勢」と批判し、「体験者は高齢化し追い詰められている。根本的な解決の道を国に強く求めて」と訴えた。
 9日来県した岸田文雄首相は体験者への助成拡大に言及したが、長崎原爆の「黒い雨」などに遭った体験者の救済には触れなかった。
 長崎市役所で体験者から要望書を受け取った前田孝志・原爆被爆対策部長は、24日に厚生労働省に対し▽長崎の黒い雨の客観性を認めた県専門家会議の報告書を速やかに検討すること▽がんはできるだけ広く対象とすること-などを要望したと報告。引き続き国に対し、体験者の早期救済を求める考えを示した。
 支援者の被爆2世、平野伸人さん(75)はがんの一部追加について「10年前なら『進展』と評価したかもしれないが、高齢化で『一歩一歩の解決』を待てる状況ではない」と強調。体験者の岩永千代子さん(86)は「黒い雨で広島と差別されている。広島と同じような対応をしてほしい」と訴えた。


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