40年超の美浜原発3号機、原子炉を起動 関西電力、トラブル続き予定から20日遅れ

8月に入り2件のトラブルが相次ぎ、運転再開が遅れた関西電力美浜原発3号機=美浜町丹生

 関西電力は8月30日午後1時、国内で初めて40年を超えて運転し定期検査中だった美浜原発3号機(福井県美浜町)=加圧水型軽水炉、出力82.6万キロワット=の原子炉を起動した。8月にトラブルが2件相次ぎ、10日に予定していた起動が遅れていた。

 順調なら31日に臨界に達し、9月1日に発送電を開始する。営業運転開始は9月26日を見込んでいる。

 美浜3号機は2021年6月に約10年ぶりに再稼働し、東京電力福島第1原発の事故後、運転期間を「原則40年、最長で延長20年」としたルール下で初めての40年超運転に入った。テロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の設置が期限に間に合わず、10月に停止した。特重施設は22年7月に運用を始めた。次回定検は23年10月の予定。

 全国原子力発電所所在市町村協議会会長の渕上隆信・福井県敦賀市長は「国と事業者は原発の安全確保に取り組みながら、電力の安全供給を通じて、国民生活や経済活動を守るといった原子力発電が担うべき役割を確実に果たしていただきたい」、福井県原子力発電所所在市町協議会会長の戸嶋秀樹美浜町長は「安全を最優先に、ベースロード電源・脱炭素電源として美浜3号機が果たす役割に期待する」とコメントした。

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